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狼と香辛料Ⅱ 第12話(最終回)「狼ととめどなき涙」

突如発生した武装蜂起。
会議の結果は予想通りに毛皮の販売を許可するものだったが、会議の結果の交付が早すぎたため、毛皮を扱う職人たちが結果を広場に貼り付けようとしたところで、暴動を起こしたのだ。
これは毛皮が街の外に流れてしまうため、街の毛皮職人たちの仕事が無くなってしまう、という事なんだろうな。

クラフト・ロレンスは金を手に入れるより先に、毛皮の買い付け交渉をするべきだと主張するも、エーブ・ボランはこんな時だからこそ、慎重に行動して、出し抜く必要があるとする。
彼らは一端港で別れると、アロルド・エクルンドの宿屋で待ち合わせすることに。
騒ぎで取引を止めるのかと思いきや、あくまで商売は続行するつもりのようだ。

リゴロ・デドリ宅で聖母像に関するある秘密に気付いたロレンス。
今回の商売に成功すればロレンスは店を手に入れてホロと別れる事になり、失敗してもホロは狼の姿に戻ってロレンスを見限り一人で北へと去ってしまい別れる事になる。
ロレンスはホロに怒られるような発想、つまりは商売を放棄して町を去るという第3の選択を行おうと考えていた。
二人が一緒にいる手段はこの取引を放棄して町を立ち去ることだが、ホロはそれを良しとはしない。
自分のために、ロレンスに夢を捨てるような真似をして欲しくない、というホロなりの気の使い方でしょうか。
「きっとこの世に神などおらんのじゃ」
全知全能の神がいるのならば、何故自分たちの苦しむ姿を眺めているのかと嘆くホロ。
なんだかんだと言いつつ、ホロも本当は別れたくはないという気持ちがあるのですよね。
ホロの叱咤を受けたロレンスはエリンギン商会を訪れるとホロと引き替えに金貨を手に入れ、武装蜂起に混乱する町中を走る。
これで良いのかと自問自答。
商人である彼にはこれしかないはずだが、心がまったく躍らない。
ロレンスにとっては、金儲けや店を持つ事より、大切な事があるという証なのでしょう。得るモノが失うモノよりも彼の中にあって大きいから、心が躍らないのですよね。

ロレンスが宿に到着すると、エーブが隠していた金を荷物の中から出しているところだった。
部屋ではなく、こんなところに金を隠しているのですか、この人。
ロレンスがの様子に怖じ気づいたのかと問いかけるエーブ。
「あなたは怖じ気づかないのですか?」
ここでロレンスに降りられては困るエーブは、鉈を手にする。
いきなり物騒な事になりました。
信用しきれないところはあったものの、極端だなまた。

突然斬りかかってくるエーブ。
鉈は逆刃。
「お前にかぎつけられたのは失敗だった。
 俺が怖じ気づくというのはそう言うことだろう?」
ロレンスの様子から、彼が塩の事に気付いて、そこから色々と察した事を知ったのですね。

距離を取るエーブ。
彼女は石像の輸入に見せかけて、石像に加工した岩塩の密輸し、教会と蜜月な関係を築いていた。この町の教会の異常なほどの金遣いの資金源は、その岩塩にあった。
教会とエーブの関係が突然の破局を迎えたのは、確かに北の大遠征の中止が関係していた。
エーブは司教に対して、よそ者の商人達に毛皮を買い占められるくらいなら自分たちで毛皮を買い占めようと申し出たのだ。彼女の今回一件での手際の良さは、前々から彼女が準備していたが故の事。
なるほど、確かに短期間で考えたにしては、準備万端という感じは確かにあったな。
教会はより強力なパトロンとして、外地商人たちと手を組んで、自分を切り捨てる事に気付いて焦っていた。
エーブがロレンスに語ったことに嘘はないが、また真実も語ってはいなかった。
ロレンスに商売を持ちかけたのは、自分を守る盾とするため。
教会の醜聞を知るエーブは教会にとって邪魔な存在となる。教会はいつか利用出来ると考え、彼女の安全を保証したものの、エーブは自分が考えた今回の儲け話を捨てる事が出来ない。そこで組合所属の行商人であるロレンスと組むことで、教会の妨害をしても簡単に始末されないようにと策を巡らせた。
他の人間ではなくロレンスを選んだのは、ホロという存在に目を付けたからなのかな。
利用するなら、もっと頭の回らない人間の方が使いやすかっただろうに。

エーブを取り押さえたロレンスは、彼女がロレンスを殺そうとしたのは、今回の儲けを独り占めするためでもロレンスの金貨を横取りするためでもなく、彼女が塩の取引で儲けた大金も今回の商売で使用するためだった。
ロレンスが手に入れた金貨と同等かそれ以上の大金。教会が彼女たちを邪魔だと思えるギリギリのラインまで儲けようとしていた。
命の危険を賭してまで儲けようとする彼女が理解出来ないロレンス。
ロレンスの一瞬の隙をついてロレンスを押し倒す。
エーブは金儲けに執着した末に破滅した、自らを買った商人の全ての顛末を見て、それでも尚彼と同じ、果て無き金儲けの道を選択した理由を、ロレンスに囁く。
彼女の言葉に笑うロレンスを殴りつけて気絶させるエーブ。
あっさりと気絶させられてしまいました。
もう少し抵抗を見せるかと思いきや、あっさりだったな。
エーブは何かのために金儲けをしているというよりも、もはや目的が金儲けする事になっているのですね。

宿に泊まるもう一人の商人クースに起こされたロレンスは、エーブがロレンスに残していった証書を目にする。
エーブがロレンスに囁いた彼女が今の道を選んだ理由。それは「期待しているから」
金は偽物をだったりしているのかと思いきや、普通に持って行かれていたのか。

一人じっと待ち続けていたホロの下に現れたロレンスに、ホロは取引を保護にしてきたのではないかと怒るが、ロレンスは落ち着いた様子で全て奪われただけだと語る。
ロレンスの夢であった筈の店を持つ事も何もかも無くしながら、落ち着き払っているロレンスを襟首を締め上げる。
エーブが残した証書は、アロルドの宿を譲るという念書であり、それと引き替えにロレンスはホロを取り戻した。
念書を残したのはエーブのせめてもの商人としての取り決めに対する義理というところか。
宿を譲るという念書で快く承諾したところをみると、宿の価格はあの貸した金よりも上回るだけ価値があるという事なんでしょうね。
とはいえ、ロレンスは結局この一連の騒動で、ロレンスたちは実際には特別に何かを得たわけでも無くした訳でもないのですよね。
「わ、わっちはぬしの何が怖いと言ったか覚えておるか」
「気恥ずかしくて口には出来な」
ロレンスを殴りつけるホロ。
「それでのこのこたわけのぬしが!
 このヨイツ賢狼ホロの前に現れてに何を言う!
 何を望む! 何を願う!」
「……お前の狼の姿で」
「任せるがよい。
 ぬしはわっちと出逢って一廉の商人になる。
 物語は笑顔で締め括られる。
 そうでなければならぬ!!」
麦を取り出し、狼の姿に戻ろうとしたホロの腕を抑えるロレンス。
「お前の狼の姿で取り返してくれ、というと思ったか?」
ホロを抱きしめるロレンスは、エーブが自殺行為に近い行為をしており、教会に知られれば自分たちの身も危ういから、町の騒動が終わる前に狼の姿で自分を乗せて逃げてくれと頼み込む。
ロレンスにとって失った金はそこまでして取り戻したいというものではないのでしょう。

「俺はお前が好きなんだ」
「……ぬしにわっちの何が判る」
「何も判らないさ。
 だがな、一つだけ言える事がある。
 望んでも手に入らないかもしれない。
 だが望まなければ、絶対手に入らない」
バカップルぶりがもの凄く目立つ今回のお話ですが、ロレンスがちゃんと「好き」だと告白したのは初めてでしょうか。

エーブは危険を賭して大金を手に入れようとしている。その大金が手に入った時点で、金は色褪せてしまうと判っていながらも。
彼女の姿勢は商人として見習うべき者であり、ロレンスはそれを真似してみる事にしたのだと語る。
泣きじゃくるホロ。
今のロレンスにとって危険を冒しても手に入れるべきモノは、金や店ではなくホロだという事なのですね。
こんな台詞が吐けるようになるとは、本当にロレンスも変わったモノです。

ロレンスの考えに付き合う事を約束したホロだが、突然ロレンスに蹴りを叩き込み、自分の連れがヘタレでは困ると口にする。
儲けを取り返す算段を訊ねるホロに、ロレンスはむしろホロの主導権を取りたいと語る。
が、ホロはそれを許さないという。
「わっちがな……ぬしに惚れたらこまりんす」
頬を赤くして語るホロ。
笑い会うホロとロレンス。

商会を後にしたロレンスとホロ。
教会の鐘が鳴り響く町は、あちらこちらで暴動による火の手が登っていた。
微笑み会う二人は、手を取り合って港へと繰り出す。
町では酒屋でヘレーナと客達が暴動による襲撃に備え、リゴロ・デドリと家で待つ修道女メルタの下に無事帰還していた。

で、取り戻すことが出来たかどうかは判らないままか。
原作ではどうなっているのか。
同じなら続刊でどうなったかが描かれていたりするのかな?


やはり全体的に安定したレベルを誇る作品ですね。
登場人物の少なさも希少か。
前シリーズではロレンスの商売を中心に描かれていたけど、今シリーズはむしろロレンスとホロの二人の絆について描かれたという感じですね。
二人がより親密となっていく過程で騒動が起きつつ、商売もするという感じでしょうか。

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