狼と香辛料Ⅱ 第8話「狼と蠱惑的な旅人」
港では、多くの船が停泊していた。
行商人たちと船乗りのやり取りに聞き耳を立てるホロによれば、明らかに行商人たちが足元を見られている。船の税が高いから、積んだ積み荷を最初の額では降ろしたくないという、しかし町側の人間も北の大遠征中止を盾に払ってもらえるだけありがたいと思え、と。
北の大遠征や五十人会議などなど、クラフト・ロレンスはそれらから商売の匂いを感じ取る。
港で酒を呑んだホロは少量ですっかり酔ってしまう。暖かい地方に比べて、酒のアルコール度数が高いからなんでしょうね。
部屋を出て行こうとするロレンスの服の裾を掴むホロ。
「安心しろ、俺は高値過ぎて買い手はつかないよ」
そんな軟派な台詞をいつから吐けるようになったのか、この男は。
酒に酔ったホロをベッドに寝かせ、酒場へと向かったロレンス。
店では若い女性ヘレーナが前掛けの繕いをしていた。
軽い冗談のやりとり。初めて会ってこれだけ軽口をたたき合えるというのは凄いよな。
尻尾料理を二人前注文。
ロレンスは情報を得るために、代金を差し出して彼女から情報収集。
町の入り口に行商人風の男たちが屯していた事について訊ねる。
毛皮とそれに関係するもの取り扱いをしている人たち。
五十人会議で毛皮を売るかどうかが議題となっているため、様子見となってしまっている。
毛皮の売り買いが中止が検討されているのは、北の大遠征が中止になって大口顧客がいなくなったのが原因。
行商人たちと船乗りのやり取りに聞き耳を立てるホロによれば、明らかに行商人たちが足元を見られている。船の税が高いから、積んだ積み荷を最初の額では降ろしたくないという、しかし町側の人間も北の大遠征中止を盾に払ってもらえるだけありがたいと思え、と。
北の大遠征や五十人会議などなど、クラフト・ロレンスはそれらから商売の匂いを感じ取る。
港で酒を呑んだホロは少量ですっかり酔ってしまう。暖かい地方に比べて、酒のアルコール度数が高いからなんでしょうね。
部屋を出て行こうとするロレンスの服の裾を掴むホロ。
「安心しろ、俺は高値過ぎて買い手はつかないよ」
そんな軟派な台詞をいつから吐けるようになったのか、この男は。
酒に酔ったホロをベッドに寝かせ、酒場へと向かったロレンス。
店では若い女性ヘレーナが前掛けの繕いをしていた。
軽い冗談のやりとり。初めて会ってこれだけ軽口をたたき合えるというのは凄いよな。
尻尾料理を二人前注文。
ロレンスは情報を得るために、代金を差し出して彼女から情報収集。
町の入り口に行商人風の男たちが屯していた事について訊ねる。
毛皮とそれに関係するもの取り扱いをしている人たち。
五十人会議で毛皮を売るかどうかが議題となっているため、様子見となってしまっている。
毛皮の売り買いが中止が検討されているのは、北の大遠征が中止になって大口顧客がいなくなったのが原因。
ならば外で屯している商人達に売ればいいだけというかというとそうでもなく、彼らは騎士や貴族と比較すれば金にせこい。簡単に大金を落とす貴族たちは、服などに加工された高価な毛皮を簡単に買ってくれるのだ。売る価格が高いほど、町に落ちる利益も高くなる、故に安値での販売しかない現状は売買中止が検討されている。
ヘレーナは秘密の上昇として十中八九、外地商人たちによる毛皮の買い付けは阻止されると囁く。
この女性は今後も登場するのでしょうか。結構良い感じのキャラクターですけど。
売られる事無く、町で眠っている大量の毛皮。
どういう形にしろ、大金が動くと上機嫌なロレンスが宿に戻ると、ホロが尻尾を売られては敵わないと隠していました。
連れの尻尾を切り取って売るって、どんなけ金に困ってるんだ。
格別に愉しくなりそうだというロレンス。
ロレンスは匂いだけで何の何処の肉か当てられたら、晩飯を好きなものを好きなだけ食べさせてやると賭を申し出る。
ロレンスは町の外にいる行商人たちは、何かあるからこそおとなしく待ち続けているのだと踏んでいた。五十人会議の結果、買い付けが阻止されるという予測は彼らも立てている筈であり、裏で大きな権力組織がいると踏んでいた。
上手く立ち回れば、売れなくなった毛皮を集めて、それをその組織に売ることで儲けられるというところか。
ホロはロレンスの掛けはあまりにも釣り合わないという。
自信満々のロレンスだが、中身はあっさりと言い当てられてしまう。
当初は町の変化に不安があったホロだが、記憶が蘇っていたからだ。ロレンスの完敗。
「わっちはこの匂いをきっと、ずっと忘れぬ」
「……俺もだ」
バカップルが、すっかりベタ甘です。
クメルスンでも儲けは店の一つを出せるぐらいはあるが、なおもリスクのある稼ぎをしようとするロレンスに、ホロは金に困っていないのならばゆっくりしないかと語りかけ、ロレンスもそれもそうだと納得する。
これまで散々儲けるために危険を冒して、本当にやばい目にもあってきた訳だし、急いで儲けなければならない理由もないのだから、リスクの高い商売は回避するのも仕方ないだろう。
アロルド・エクルンドにニョヒラへ続く北の道について訊ねる。
わざわざ異教の地にまで足を運ぼうとしているロレンスだが、商人は金のためならどこまでも行くものだったと納得する。死ねば金が無駄になる、しかしそれでも稼ごうとするのは、彼が商人だから稼がずにはいられないという事だろう。
直ぐには出立せずに五十人会議が終わるまで待つという。
会議の結果がどうこうというのもあるけど、リゴロの件があるからかな。
今ならまだ途中まではロレンスの馬でも途中までは移動が可能だが、その先には長毛種に乗り換えた方が良いと語る。
馬小屋に一頭だけいた長毛種は北の出の人間で、毎年この宿に泊まる者のアロルドは名前すら知らないらしい。
そんな毎年のように宿泊しているのに、名前すら判らない相手が存在しているのか……毎年太っていってるという事は、商売そのものは上手く儲けているという事なのかもしれないけれども。
五十人会議は春まで掛かるかもしれないというアロルド。
「人の人生にすら趨勢がある。
ならばその集まりである町にも趨勢があって当然である」
「運命に逆らうのが人の常かと思います。
過ちを犯しては、償いを求める人間のように」
ロレンスの言葉に反論は出来ないと考えたアロルドは、彼が今回で3度目の宿泊になって初めて名前を尋ねる。
アロルドは自分が認めた相手にしか名前を尋ねようとはしないのか。それでも客の顔だけはちゃんと覚えているのですね。
アロルドとの会話中に、フルール・ボランが声を掛けてくる。彼女がアロルドに名前を訊ねられたのは5回目の時だし、他人と口を利くことすら珍しいようだ。それは女である事を隠すためなんでしょうけど。
フルールという名が嫌いであるため、エーブ・ボランとして名乗る。
女の行商人は珍しいからと警戒していたロレンス。
突然声を掛けてきた彼女を女であるとホロが見抜いた事を説明する。
女としての見た目を褒められるのは好きではないエーブ。
女だから特別視されるのが許せない、男だろうと女だろうと対等の立場でありたいというタイプというところか。
エーブが声を掛けたのは、一つはアロルドが会話していたこと。彼は人嫌いだが人を見る目が確かだから。もう一つは女連れという珍しい行商人であり、かつ彼らの関係が金で繋がっているわけでもなかったから。
リゴロに会いたがっている彼に、ただ会話したかったというだけでは警戒される事もあり、彼の名を使った。
リゴロとのつきあいも長いエーブ。
毛皮の事ではなく、主目的は彼の持つ伝記の方。
さすがにそういう人は殆ど存在しないのでしょうね。
五十人会議の書記である彼には、大勢の人間が接触を図るため、正面から面会を求めても睨まれて門前払いされるだけ。
本当に彼の知る古い話を聞きたいだけと理解したら、喜んで話をしてくれるのでしょうが。
教会と商売をしているエーブは、教会で文字を隠し事をしているリゴロとの交流が少なからずあった。
ロレンスはエーブが何を扱っているのか聞く前に、紹介料を訊ねる。
紹介料として金も物もいらないが、ただ自分と雑談して欲しいと語る。
女である事を隠さず、会話できる商人は希少だから。
ただホロがどんな存在か判らないエーブは、出来ればサシで会話する事を希望するらしい。
ロレンスはホロが嫉妬しない程度なら、という条件で彼女の申し出を飲む。
エーブの取り扱っている品というのは、あまり表だって出来るものではなというところか。
次回 第9話「狼と無謀な商談」
次回は結局危険な商売に首を突っ込むことになるようです。
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ヘレーナは秘密の上昇として十中八九、外地商人たちによる毛皮の買い付けは阻止されると囁く。
この女性は今後も登場するのでしょうか。結構良い感じのキャラクターですけど。
売られる事無く、町で眠っている大量の毛皮。
どういう形にしろ、大金が動くと上機嫌なロレンスが宿に戻ると、ホロが尻尾を売られては敵わないと隠していました。
連れの尻尾を切り取って売るって、どんなけ金に困ってるんだ。
格別に愉しくなりそうだというロレンス。
ロレンスは匂いだけで何の何処の肉か当てられたら、晩飯を好きなものを好きなだけ食べさせてやると賭を申し出る。
ロレンスは町の外にいる行商人たちは、何かあるからこそおとなしく待ち続けているのだと踏んでいた。五十人会議の結果、買い付けが阻止されるという予測は彼らも立てている筈であり、裏で大きな権力組織がいると踏んでいた。
上手く立ち回れば、売れなくなった毛皮を集めて、それをその組織に売ることで儲けられるというところか。
ホロはロレンスの掛けはあまりにも釣り合わないという。
自信満々のロレンスだが、中身はあっさりと言い当てられてしまう。
当初は町の変化に不安があったホロだが、記憶が蘇っていたからだ。ロレンスの完敗。
「わっちはこの匂いをきっと、ずっと忘れぬ」
「……俺もだ」
バカップルが、すっかりベタ甘です。
クメルスンでも儲けは店の一つを出せるぐらいはあるが、なおもリスクのある稼ぎをしようとするロレンスに、ホロは金に困っていないのならばゆっくりしないかと語りかけ、ロレンスもそれもそうだと納得する。
これまで散々儲けるために危険を冒して、本当にやばい目にもあってきた訳だし、急いで儲けなければならない理由もないのだから、リスクの高い商売は回避するのも仕方ないだろう。
アロルド・エクルンドにニョヒラへ続く北の道について訊ねる。
わざわざ異教の地にまで足を運ぼうとしているロレンスだが、商人は金のためならどこまでも行くものだったと納得する。死ねば金が無駄になる、しかしそれでも稼ごうとするのは、彼が商人だから稼がずにはいられないという事だろう。
直ぐには出立せずに五十人会議が終わるまで待つという。
会議の結果がどうこうというのもあるけど、リゴロの件があるからかな。
今ならまだ途中まではロレンスの馬でも途中までは移動が可能だが、その先には長毛種に乗り換えた方が良いと語る。
馬小屋に一頭だけいた長毛種は北の出の人間で、毎年この宿に泊まる者のアロルドは名前すら知らないらしい。
そんな毎年のように宿泊しているのに、名前すら判らない相手が存在しているのか……毎年太っていってるという事は、商売そのものは上手く儲けているという事なのかもしれないけれども。
五十人会議は春まで掛かるかもしれないというアロルド。
「人の人生にすら趨勢がある。
ならばその集まりである町にも趨勢があって当然である」
「運命に逆らうのが人の常かと思います。
過ちを犯しては、償いを求める人間のように」
ロレンスの言葉に反論は出来ないと考えたアロルドは、彼が今回で3度目の宿泊になって初めて名前を尋ねる。
アロルドは自分が認めた相手にしか名前を尋ねようとはしないのか。それでも客の顔だけはちゃんと覚えているのですね。
アロルドとの会話中に、フルール・ボランが声を掛けてくる。彼女がアロルドに名前を訊ねられたのは5回目の時だし、他人と口を利くことすら珍しいようだ。それは女である事を隠すためなんでしょうけど。
フルールという名が嫌いであるため、エーブ・ボランとして名乗る。
女の行商人は珍しいからと警戒していたロレンス。
突然声を掛けてきた彼女を女であるとホロが見抜いた事を説明する。
女としての見た目を褒められるのは好きではないエーブ。
女だから特別視されるのが許せない、男だろうと女だろうと対等の立場でありたいというタイプというところか。
エーブが声を掛けたのは、一つはアロルドが会話していたこと。彼は人嫌いだが人を見る目が確かだから。もう一つは女連れという珍しい行商人であり、かつ彼らの関係が金で繋がっているわけでもなかったから。
リゴロに会いたがっている彼に、ただ会話したかったというだけでは警戒される事もあり、彼の名を使った。
リゴロとのつきあいも長いエーブ。
毛皮の事ではなく、主目的は彼の持つ伝記の方。
さすがにそういう人は殆ど存在しないのでしょうね。
五十人会議の書記である彼には、大勢の人間が接触を図るため、正面から面会を求めても睨まれて門前払いされるだけ。
本当に彼の知る古い話を聞きたいだけと理解したら、喜んで話をしてくれるのでしょうが。
教会と商売をしているエーブは、教会で文字を隠し事をしているリゴロとの交流が少なからずあった。
ロレンスはエーブが何を扱っているのか聞く前に、紹介料を訊ねる。
紹介料として金も物もいらないが、ただ自分と雑談して欲しいと語る。
女である事を隠さず、会話できる商人は希少だから。
ただホロがどんな存在か判らないエーブは、出来ればサシで会話する事を希望するらしい。
ロレンスはホロが嫉妬しない程度なら、という条件で彼女の申し出を飲む。
エーブの取り扱っている品というのは、あまり表だって出来るものではなというところか。
次回 第9話「狼と無謀な商談」
次回は結局危険な商売に首を突っ込むことになるようです。


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