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少年H レビュー(ネタバレあり)

 【ストーリー】
妹尾肇(吉岡竜輝)は神戸に住む少年。
ミセスステープルスの布教によりクリスチャンとなった母・妹尾敏子(伊藤蘭)の影響で、一家揃ってクリスチャンだったため、友達たちには「アーメン」とからかわれることもしばしば。
そのミセスステープルスはアメリカへと帰国が決まる。
紳士服の個人店を営む父の妹尾盛夫(水谷豊)は、主に外国人を相手に商売を行っていた。

わんぱくな肇は友達のイッチャンたちと遊び、楽しい日々を過ごしていた。
近所のうどん屋に勤務するうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)の鼻歌が気に入った肇に、兄ちゃんは秘蔵のレコードをこっそりと聞かせてくれる。
赤盤と呼ばれる特別なレコードを聞かせてくれた兄ちゃんを、今度から「赤盤の兄ちゃん」と呼ぶという肇に、兄ちゃんは強い剣幕でダメだと止め、レコードの事も二人きりの秘密とする。

そんなある日、いつものようにお風呂屋へ行く前にこっそりとうどん屋の兄ちゃんの部屋へ立ち寄った肇だが、友達が来ているからダメだと追い返されてしまう。
その日の夜、警察の捕り物があり、うどん屋の兄ちゃんとその友達が捕えられてしまった。
実は兄ちゃんは「赤」と呼ばれる反政府である共産主義者だったのだ。
近所の吉村さん(國村隼)と柴田さん(岸部一徳)は捕えられた彼らを非国民として冷たく見放す。
肇は父から本来人間は色々な考えを持っていて当然だが、今の世の中は国民が一丸となって戦わないといけない時なので、政府を批判する人は捕えられるのだと教えられる。
日本は次第に戦争の色が濃くなっていく。
映画館で働く元女形の役者であり、肇たちが「オトコ姉ちゃん」と慕う下山幸吉(早乙女太一)にも召集令状が届いて出兵が決まる。
肇はオトコ姉ちゃんの体の不自由の母親が一人残されて、これからどうなるのかと心配する。
しかしその夜、憲兵があられて出兵したはずのオトコ姉ちゃんが来ていないから、見つけ次第連絡するようにと命じる。

オッペンハイマーさんが神戸港に来航したユダヤ人の服の修復を依頼がくる。
彼らの服を修復する盛夫に感謝するオッペンハイマーだが、日本はドイツと同盟を結んでいるためユダヤ人を匿い続けるわけには行かず、彼らは東南アジアを経由して南アフリカへと向かっていく。
そしてオッペンハイマーさんもまた戦争の流れで客足が減っていき、店を閉じて帰国することになっていく。

日本はアメリカと戦争になり、国内では英語の使用が禁止されるようになってきて、異教徒であるクリスチャンへの風当たりも強くなってきていた。
江戸時代みたいに踏絵をさせられるのかという肇に、絶対に踏まないという敏子だが、盛夫は信仰は心の問題であるのだから意地にらず「踏んだらええのや」と諭す。

そんな中、草野球の途中でお腹が痛くなった肇は、駆け込んだ近くの小屋で首を吊って死んでいるオトコ姉ちゃんを発見する。
父親を呼び、オトコ姉ちゃんの遺体は憲兵によって運ばれていく。

戦争は過熱し、紳士服の仕立ての仕事の減った盛夫は知り合いの誘いで消防士の職に就く。
母・敏子も隣組の班長に推薦される。最初は乗り気でなかった敏子だが、盛夫に班長として地域の役に立つことでクリスチャンとして周りから疑惑などを掛けられるのを回避できると後押しされて就任する。

肇も中学へと進級するが、軍事教練なとばかりになってしまった授業に嫌気がさしていた。
エドゥアール・の裸婦画『オランピア』の模写を田森教官(原田泰造)に見られて殴られるが、口答えをした事で更に激しい折檻を受ける。
そんな彼を助けてくれた久角教官(佐々木蔵之介)は、肇を自分の教える射撃部に入らないかと誘う。
それは田森から目をつけられている肇を守るためだった。
元々時計屋で機械いじりが好きだから銃器も嫌いではないという彼は、人に殺すためではなく、自分の教え子がつまらないことで命を落とさないため、身を守る術を教えているのだと語り、肇は射撃部への入部を決意する。

そうしたある日、神戸に空襲があり、近くに焼夷弾が落とされた。
敏子と妹の妹尾好子(花田優里音)がお祈りへ出ている間に、盛夫は新聞では報じられないが、死者が1名出ており、新聞やラジオが必ずしも真実を報道するわけではないと教える。
だが、そこに突如やってきた憲兵に盛夫は連行されてしまう。
実は盛夫たちには少し前からスパイ容疑が掛けられていたのだ。
盛夫は外国人を相手に紳士服の仕事をしていた事から、日本の情報を流していたのではないかと詰問を受ける。
肇は友人から肇が外国の写真を持っている事からスパイだという疑惑を掛けられている事を知る。
アメリカの写真ではなく、アメリカとの戦争前にミセスステープルスに送ってもらった絵葉書だけしか持っていない肇は、それを見せたのが友人のイッチャンだけだと気付き、彼から情報が流れたのだと知る。

帰宅後、一次釈放された盛夫が、身の潔白を証明する為に絵葉書を渡してくれるように肇に頼んでくるが、彼の右手が拷問で酷く傷つけられているのを見た肇は、情報を流したイッチャンに文句を言おうと飛び出そうとする。
しかし盛夫は絵葉書を見せたのは肇であり、イッチャンも盛夫と同じく嬉しかったから絵葉書のエンパイヤーステートビルの話を喋っただけだと諭す。
肇はイッチャンに会うと、二人はお互いに誤ってぎくしゃくしていた関係は和解する。

戦争は更に激しくなり、アメリカの日本本土への空襲も頻繁になっていた。
妹尾家では娘の好子が親戚の下へと疎開が決定する。
肇はお国のために命を捨てて戦うという同級生が理解できずに反発を覚えていた。

そして3月17日、神戸大空襲が起こる。
盛夫はすぐさま消防署へと向かい、敏子と肇は消火の準備を行う。
家から飛び出した肇は爆弾の投下される光景に「花火のようで綺麗」だと見とれるも、爆発で我に返る。
隣組で預かっている国債を大切に身に着ける敏子。
二人は必至に家の中に落ちた焼夷弾の消火に当たるが、外では人々が逃げ惑い、家々は炎に包まれていた。
消火中にそれを知った肇は自分たちも避難しようとするが、父の大切なミシンだけはなんとか持ち出そうとする。
母と共に必死の思いで家の外にまで運び出した肇だが、焼夷弾の爆風で倒れ、止むを得ず道に置いて避難する。

翌朝、町は跡形もなくなり一面焼野原となった町を歩く盛夫は、家の跡で荷物を漁る息子の姿を見つける。
妹尾で残ったのは肇のフォークと、運び出したものの途中で放棄したため壊れてしまったミシンだけだった。

そして8月、日本は敗戦宣言。
「玉音放送」に対して敗戦を受け入れられずに米兵と刺し違えるという生徒に、田森教官は感動して泣き崩れる。
肇たちは、射撃部の先輩と共にバカな者たちが持ち出さないようにと銃を森の中へと埋める。
戦争が終わって良かったと喜ぶ肇だが、先輩に殴り飛ばされてしまう。
肇はこの戦争は一体なんだったのか、と理不尽さを感じる。

終戦後、日本は復興へと向かう。
妹尾家は好子も戻ってきて、当選した復興住宅で生活していた。
しかし盛夫はすっかり覇気を失い、これまで声高に大日本帝国万歳を謳っていた人々が、田森教官たちは共産主義に耳を貸し、吉村さんや柴田さんも米兵に愛想を振りまいていた。
そんな人々の姿に、肇は憤りを覚えるようになっていた……

公式サイト:http://www.shonen-h.com/

・キャスト
妹尾盛夫:水谷豊
妹尾敏子:伊藤蘭
妹尾肇:吉岡竜輝
妹尾好子:花田優里音
うどん屋の兄ちゃん:小栗旬
下山幸吉(オトコ姉ちゃん):早乙女太一
田森教官:原田泰造
久角教官:佐々木蔵之介
吉村さん:國村隼
柴田さん:岸部一徳

 【感想】
妹尾河童の自伝的小説の映画化作品。
テレビ朝日開局55周年記念作品。
1999年には中井貴一主演でテレビドラマにもなっています。
この作品に対しては、批判的意見もあるようです。
「主人公と家族の視点が当時の一般的な日本人の感覚から大きく乖離している」というのは、個々の家の問題だから決して存在していなかったとは言えないよね。色々な人がいたからこそ「赤」と呼ばれる共産主義者もいたわけで。
実際、与謝野晶子のように戦争に行った弟へ死なないで欲しいという手紙を書いた人もいるぐらいだし。
ただ大勢は官警に捕えられて拷問を受けたり、非国民として地域から叩かれるのを恐れて、周りに合わせていたんだろう。

盛夫はこの時代として風変りとも言える柔軟な考えの持ち主。
軍事国として敵う筈がない大国に精神論で戦争を仕掛け、情報統制をする日本政府のあり方を正しいと考えながらも、ムキになって時勢に逆らっても仕方がなく、自分の根っこだけを変えずに今の世の中に合わせた生き方をする事が大切という考え方。
しかし戦争が終わると、ミシンが壊れて仕事も失ったのもあってか、戦時中に見せていた父親らしい心の強さを失って、すっかり覇気を失ってしまうのは人間の脆さの表れでもあるんだろう。
外国人相手の商売だけど、英語とかが喋れるわけじゃなくて、日本語と外国語で会話。
たぶん外国人の方が日本語をある程度理解出来たんだろうね。

肇は両親の影響もあるのか、戦争に関してはかなり批判的で、お国のために死ぬとかいう発想は皆無。
しかし思ってる事を何でも口走ってしまう危険な性格で、あの時代にあれだけ口にするのはかなり危険だったと思うんだが。
スパイ容疑は絵葉書はもちろんだけど、肇が普段からあんな事を口走っていたせいなんじゃないだろうか。

戦後、あれだけ神国日本を讃えて、外国人を敵視してきた日本人たちが、掌を返して米兵を迎合。共産主義にも賛同する有様。
これは日本人が現実をギリギリまで知らされていなかったのと、これまで負け知らずだったのは神の国だからと信じ込んでいた盲信が崩れて、憑き物が落ちたからだろう。
もちろん、生きるために必死だったというのもあると思う。
内心ではアメリカを快く思わなくても、生きるためには笑顔を見せるしかなかった人たちも沢山いたんだろう。
そんな象徴が田森教官、吉村さん、柴田さん
柴田さんは元々インテリで外国かぶれなところがあったので、時勢に流されて生きていただけなんだろう。
田森教官は特に変わりすぎ……実家の質屋を継いだとはいえ、威張り散らしていた生徒に対しても敬語でおべっかを使うとは。
逆にあまり変わっていないのが久角教官。米兵相手にも商売していますが、元々時計職人であり仕事相手は日本人もアメリカ人も関係ないというスタンスかな。

母親は敬虔なクリスチャンで、唯一神を崇め、現人神なんて認めないという人。
味噌汁をスープ皿とスプーンで飲ませるのは流石にないわ。
頑なな性格で、ともすれば浮いてしまい、非国民扱いを受けかねない人ですが、柔軟な思考の夫とのバランスで地域ともそれなりに上手くやれていたみたいだ。
戦後はキリスト教の教義の影響からか、お隣や知らない人にも食糧を恵んでしまい、肇を苛立たせる原因ともなっている。
これはどちらかが間違っているというわけではないんだよね。肇の言い分も尤もだし、困っている人は助けて助け合おうという母親の言動も正しいもの。

うどん屋の兄ちゃんは赤盤の話が出たところで、共産主義者なんだな、というのは想像がつきますね。
うどん屋の大将も後で捕まっていたのは、彼が赤だと知って雇っていたからか、それとも彼自身も共産主義だったからなのか。

空襲ではみんなが逃げ回ってる中で、二人だけ必死に家の火消をしているのが何故かと思っていたら、周りが逃げてる事を知らずに、マニュアル通りの行動をしていただけだったのか。
しかも町中が火の海になっている中で、重いミシンを運び出そうとか無茶にもほどがあって、やっぱり断念。
土台が焼けてゴムなども使い物にならなかったけど、基本部分が鉄で溶けることが無かったので修理して再利用が可能だったのか。たぶん家の二階に会ったら落下して瓦や柱の下敷きになったりでダメになっていたのかな。

戦争の悲惨さを謳うわけでもなく、戦争賛美をするわけでもなく、戦時中に生きた家族の繋がりを描いた話という感じ。
普通に面白いけど、手に汗握る緊張感などがあったわけではない。
水谷豊は夫婦で出演している事もあり、積極的に番宣しているものの興業的にはあまり成功していないみたいですね。もう少し振るっても良さそうなんだけど。
客層は中高年だったので、あまり若い世代に見てもらえるようなインパクトが無かったのが原因か。
蘭ちゃんも30代以下にはあまり思い入れないしね。

個人的評価:68点


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Author:黒虎
アニメや音楽・映画などの個人的主観に基づいた感想をつらつらと駄文で書き綴っています。

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年中無休で貧乏人です
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