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相棒シリーズ X-DAY 感想(ネタバレあり)

 【ストーリー】
謎のデータがネット中に動画配信されて削除された。
その数日後、燃やされた百万円入りの封筒と、ビルから落下して死亡した男性が発見された。
さっそく捜査へ乗り出した警視庁捜査一課の伊丹憲一(河原和久)らは、被害者が東京明和銀行システム部勤務の中山雄吾(戸次重幸)であると知る。
更に警視庁サイバー犯罪対策課専門捜査官の岩月彬(田中圭)から、彼はjuctice11というハンドルを使い、ネット上に不信なデータを動画として配信していた事が判明する。
何者かから金を受け取った雄吾が、その金を燃やしたと思われる理由も判らず、警視庁はこの不可解な事件の調査を始める。

殺人事件の捜査は自分の担当ではないと事件に協力姿勢を見せない岩月に、証拠は渡さないと腹を立てる伊丹。
中山の自宅を捜査する伊丹たちは、警視庁鑑識課 巡査部長・米沢守(六角精児)から中山には恋人がいた事、juctice11の動画が中山のパソコンから配信された事実を知る。

いつもならば事件にクビを突っ込んでくる警視庁特命係係長の杉下右京警部(水谷豊)は、ロンドンへの旅行中だった。
同じ頃、とある銀行のATMのシステムトラブルによって預金を引き下ろし出来なくなってしまい、世間では騒ぎとなっていた。

中山雄吾殺人事件の捜査本部が警視庁に立てられることになり、伊丹はいつも行動を共にしている同じ捜査一課の三浦信輔(大谷亮介)や芹沢慶二(山中崇史)とは別動班として捜査に当たる。
東京明和銀行へ中山について確認するため、システム部で中山の上司にあたる朽木貞義(田口トモロヲ)に接触を図る伊丹だが、そこにjuctice11のアップしたデータについて確認に来た岩月も合流することになる。
全銀システムのデータに酷似しているという岩月。
データが流出していたことを驚く朽木は、このデータをただのマニュアルだと答えるも、彼の態度に不信を覚えた伊丹はデータの提出を要請する。

データを受け取った帰り、中山の恋人である麻生美奈(国仲涼子)に会うため東京明和銀行を訪れた三浦と芹沢に同席することになった伊丹。
麻生は恋人の死に対してもどこか余所余所しく、中山がアップしたデータについても知らないと答えるも、何かを隠している様子だった。

捜査一課が事件を追う頃、警視庁組織犯罪対策部では第5課長角田六郎警視(山西惇)らが、最近羽振りが良くなり覚せい剤の買い占めを行っていた暴力団事務所の強制捜査を行い、麻薬を押収して抵抗する組員たちを逮捕していた。
そんな中、事務所の奥で一人の青年が扱っていた大量のコンピュータでの証券取引のデータを目にする。

テロ対策としてネット監視の法案設立を目指す総理補佐官の片山雛子衆議院議員(木村佳乃)に、財務省族議員の戸張弘成(別所哲也)が接触を図ってきていた。
片山が成立を目指す法案に興味があり、勉強会を開きたいという戸張の目的を計り兼ねる片山は、彼らに何か不祥事が起きていなかったかの調査を行い、ネットに流れていた中山のデータへと辿り着く。
法案の主導権を財務省に握りたいという戸張の思惑を阻止するため、警察庁長官官房付の神戸尊(及川光博)に声を掛け、勉強会には警察庁からも参加してくれるように促す。
神戸は片山から預かったデータを解析するため、ロンドンにいる杉下に連絡を取る。

岩月は朽木の提出したデータが偽物であると知る。
しかも中山は既に死亡しているにも関わらず、juctice11が新たにネットへ動画をアップロードしていた。

二人は再び東京明和銀行へと乗り込んで本当のデータを引き渡すよう朽木に強く要請するも、朽木は応じようとしなかった。
朽木からデータを引き出すため、岩月が新juctice11の流したデータについて口を滑らせてしまい、新たに流されていたデータは削除されてしまう。

捜査二課に解析を依頼することにした岩月。
だが、朽木から連絡を受けた戸張が財務省から警察庁長官・金子文郎(宇津井健)へと圧力を掛け、伊丹たちは内村完爾警視長(片桐竜次)から謎のデータについては深く追及しないようにとの命令を受けてしまう。
しかもサイバー犯罪対策課は捜査から外されてしまい、岩月はX-DAYについての真相を知ることになる。

一方、片山と神戸は、杉下から連絡を受けて謎のデータの正体に辿り着いていた。
このデータは意図的に銀行システムに障害を発生させて金融封鎖をするための手順書である事が判明する。
銀行のシステムを破たんさせて、日本の紙幣価値を失わせてしまう事が出来る。
財務省はこの実験を段階的にテストしており、日本で発生している金融システムのトラブルはこのためだった。

そんな中、岩月の同僚・小田切亜紀(関めぐみ)により、新juctice11が動画をアップロードしたネットカフェである事が判明し、防犯カメラから新juctice11の正体が麻生だと知った伊丹たちは、麻生と接触する。
惚けようとした麻生だが、ネットカフェの履歴データを調べた岩月により、ついに観念する。
中山の家で偶然、データを見た事のあった麻生。そんな彼女に、中山は自分に万が一の事があったことを考え、データの入ったUSBメモリを彼女に預けていたのだ。
伊丹たちは麻生の証言で、朽木が会社で見知らぬ男と揉めていたことを知る。

5人は東京明和銀行へ乗り込んで朽木を訪ねる朽木は不在だった。
彼の家へと向かう三浦と芹沢と別れた伊丹たちだったが、麻生に案内してもらった社内の様子から朽木が社内にいることを知る。
社内で見つけた朽木は伊丹たちの姿を見るなり逃走を図り、伊丹と岩月はこれを追跡。
多くの会社の給与振込日に新たなシステム障害が発生し、銀行に大勢の人々が詰め寄せていた。そんな中、警備会社が現金の入ったトランクケースを運んでいたところへバイクが突っ込んできて、紙幣が道路を舞い、人々は紙幣を手に入れようとパニックになる。
人々が紙幣を奪い合う中、逃げる朽木を追跡する伊丹は人混みを掻き分け、車の上を走り、遂に逮捕に至る。

朽木の取り調べを行う伊丹だが、岩月が交代を申し出る。
取調室を出た伊丹だったが、小田切に呼ばれて席を外す。
その小田切の残した資料から、岩月は捜査二課が組織犯罪対策部から奪って取り調べをしていた暴力団組員の取調室へと乗り込む。
彼こそが中山殺害の真犯人だったのだ。

ネットで偶然に中山のアップしたデータを発見した彼は、朽木に接触してX-DAYについて聞き出そうとしたが上手くいかなかった。
彼の登場により、中山を月末の退職ではなく、即時の退職に切り替える朽木。
だが、朽木と中山の話を立ち聞きしたから男は、屋上にいた中山を買収してX-DAYの情報を手に入れようとした。しかし買収に応じようとしない中山と揉みあいになり、男は中山をビルから突き落としてしまったのだ。
中山の殺害を認めながらも、X-DAYについては裁判で絶対に語らないと笑う男。

岩月と伊丹は真犯人を挙げた事で表彰されるも、圧力に屈してX-DAYについて隠蔽しようとする警察組織に不満を抱えるのだった。

・キャスト
岩月彬:田中圭
伊丹憲一:河原和久
麻生美奈:国仲涼子
中山雄吾:戸次重幸
朽木貞義:田口トモロヲ
:深水元基
小田切亜紀:関めぐみ
:矢島健一
片山雛子:木村佳乃
戸張弘成:別所哲也
三浦信輔:大谷亮介
芹沢慶二:山中崇史
角田六郎:山西惇
米沢守:六角精児
大河内春樹:神保悟志
陣川公平:原田龍二
金子文郎:宇津井健
内村完爾:片桐竜次
中園照生:小野了
月本幸子:鈴木杏樹
神戸尊:及川光博
杉下右京:水谷豊



 【感想】
『相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿』に続くスピンオフ映画第2弾。
時間軸としては神戸尊が特命係を去り、甲斐享が新たにやってくるまでの間、つまりシーズン10と11の間の話。
このため杉下は長期休暇でロンドンへ旅行に行って不在、甲斐は出てこない。
神戸は杉下に連絡を取っている場面が存在するものの、直接二人が会話する場面は描かれていません。神戸からの電話も神戸が一方的に語るだけで、電話先の杉下は描かれていない。
元日スペシャル 第11話「アリス」でのロンドンエピソードはこの時の旅行の話ですね。

X-DAYのデータですが、なんで16進数なんだろ……外部に漏れてもすぐにばれないようにするためなんだろうか。全銀システムに似せていたみたいだし。
中山も人々に知らしめるために流したのなら、ちゃんと翻訳して流すべきだと思うんだけど。
つーか、あのデータを見て、すぐに「マニュアル」だと答える朽木は異常だ。
普通、マニュアルなんてものはPowerPointとかExcelやWordのようなもので作るはずで、マニュアルをあんなデータで認識する人はいないと思うよ。
あんな解析しないと読めないマニュアルなんて使えないだろう。
岩月は朽木がデータを削除したことを知っていた事を不信を抱いていたけど、俺としてはむしろただのマニュアルデータを「返して欲しい」と言った方が不信だよ。マニュアルなら、機密だとしてもバックアップもあるはずなんだし返してもらう必要はなく、削除を依頼すれば済む話……

角田がマル暴として珍しく活躍。
いつもは「よっ、暇か?」と特命に顔を出して珈琲を飲んで、暇を持て余しているようにしか見えないノンキャリア警視ですが、今回は暴力団事務所にカチコミして麻薬押収をしている。
ああ見えてマル暴の課長なので荒事にも強いという事が再認識された。
そのうちにこの人が主役のスピンオフとかが出来ても不思議ではないよね。
脇役としては、米沢・伊丹と並んで人気だし、マル暴だから刑事ものとしての事件は事欠かない。

小料理屋『花の里』は伊丹も常連になってるのだろうか。
月本は刑務所にいてお金=信頼だと気付いた事について、岩月に語っていますが、岩月はそれが刑務所の事だと気付いたのかな。
実際、現代の紙幣は国家の信用によって成立しています。
紙幣そのもの昔の金貨や銀貨と違っては何の価値も持っていません。
なので経済状況や政治など、国の状態に合わせて価値が大きく変動。
失敗したら昔のイタリアみたいな超インフレになったり、ギリシャのような国債破綻が発生してしまう。
今回のネタはそれを意図的に引き起こそうという企み。

劇場版になると暗躍してくる片山議員も登場。
今回は対テロのために考えた法案を利用しようとする議員や官僚たちに対して、それを逆利用しています。
この人は政治家らしくあれこれと策謀を巡らせる人だけど、基本的には日本の将来を考えている人、というスタンスなんだよな。

金子警察庁長官は今回、かなり情けない役回りで、こんな人だったっけと思わされてしまう。

ラストでは伊丹さんがかなり頑張ります。
中年同士の追跡劇。
若手はインテリだから体力ないし、途中で人とぶつかって遅れるし……

エピソードは犯人検挙には至っているものの、その一方で裏で糸を引いていた戸張や、彼と駆け引きしていた片山については、伊丹たちは存在を知ることもなく終わっており、当然彼らの陰謀のために成立しようとしていた法律についてもそのまま。
まだ法律の成立にまで至るところに届かず終わっていたので、今後のテレビシリーズや劇場版で何か出てくるのか、それともこのまま放置なのか。
最後に伊丹がお金を引き下ろそうとして、使用できなくなったので、テストはまだ継続中という事みたいだけど。

このため、話は一本で繋がっているものの、伊丹たちの追う表の事件と、片山たちの政治の裏側の2本が並走している感じ。
まぁ、事件は解決できても、政治的な陰謀は阻止できないのは相棒シリーズでは良くある事なんですが。
本編では頭脳明晰な右京さんが政治的陰謀にまで辿り着くのに対して、伊丹たちではそこまで辿り着けなかったので、両者が独立した話になってしまった。
この影響でちょっと消化不良な感じの終わりになってしまっている。

個人的評価:70点

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黒虎

Author:黒虎
アニメや音楽・映画などの個人的主観に基づいた感想をつらつらと駄文で書き綴っています。

趣味はアニメ・音楽・カラオケ・映画。
大阪在住の関西人。

年中無休で貧乏人です
語学力はサッパリ。記憶力はトリです。感性もイマイチです。故に高尚な表現によるレビューなどは期待出来ません、あしからず。

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