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THERMAE ROMAE -テルマエ・ロマエ- レビュー(ネタバレあり)

 【ストーリー】
古代ローマは侵略を繰り返して領土の拡大を推し進めて世界最大の帝国となっていた。
テルマエ技師のルシウス・モデストゥス(阿部寛)は、彼の考えるテルマエ(公衆浴場)は発想が古いとして突き返されてしまって職を失ってしまったいた。
失意に沈むルシウスをテルマエへと誘う友人のマルクス・ピエトラス(勝矢)。
ローマ人の憩いの場である筈のテルマエは、今や騒々しく安らぎを得る事が出来なくなってしまっていた。
そのことを嘆いていたルシウスは、ふとした事から見つけた風呂の割れ目から流れ出る水に飲み込まれてしまう。

あわや溺れるかと思いルシウスが飛び出した先は、見た事もない世界のテルマエと、言葉の通じぬ平たい顔族たちだった。
銭湯にいる老人(いか八朗)たちの驚きなど気にも留めずに、現代日本にタイムスリップした事を知らないルシウスは、そこをローマの属囚となった者達の奴隷風呂だと思いこむ。だが、自分が見た事もない優れたテルマエ技術にルシウスは驚愕する。
銭湯の壁画や巨大な一枚鏡、脱衣所に貼られたポスター、衣服を置くための籠、冷えたフルーツ牛乳など、そのどれもがルシウスの想像を超えたものだった。
フルーツ牛乳の上手さに思わず涙したルシウスは、元いたローマのテルマエで意識を取り戻す。
自分が夢を見ていたのかと思ったルシウスだが、彼の側にはあの世界が現実である事を示すようにフルーツ牛乳の瓶が転がっていた。
記憶を頼りに日本の銭湯を再現してみたルシウスのテルマエは、たちまちローマ人たちに大評判となる。
それでもローマの技術では未だあのテルマエを完璧に再現出来ない事を惜しむルシウス。

友人マルクスの老師は高齢のため、テルマエに足を運ぶのも一苦労であり、自宅に風呂が欲しいと願うも、当時、自宅に風呂を持つなどはよほどの高貴な者か金持ちでもなければ不可能だった。
なんとかしてやりたいと願うルシウスは、またも風呂に吸い込まれてタイムスリップする。
やってきたのは最初の銭湯でもルシウスを見かけていた漫画家を目指す山越真実(上戸彩)が住み込みしている漫画家の先生(内田春菊)の自宅の風呂だった。
そこで家に住む老人(菅登未男)がシャワーを使い、シャンプーハットを使う様などにまたも驚かされる。
古代ローマへと戻ると、早速マルクスの師匠のために個人用の風呂を設計して大評判となる。

一躍人気のテルマエ技師となった夫の活躍に喜ぶ妻のリウィア(Ananda Jacobs)は、ルシウスに子供を作ろうとせがむも、自分のテルマエがただ平たい顔族の模倣に過ぎないと悩むルシウスはリウィアに連れなく接する。
リウィアが怒り飛び出した後、ルシウスは第14代ローマ皇帝バドリアヌス(市村正親)からの呼び出しを受ける。

戦争で倒した敵領土の放棄や諸国漫遊など、暴君として知られるバドリアヌス帝だが、彼の行いは全てローマの安定のためだと知る。
ルシウスのテルマエの素晴らしさを認めたバドリアヌス帝は、建築技師としても有能でルシウスのテルマエに更なる改良を加えて素晴らしいものとしてみせていた。
その上で、ルシウスに自分のための風呂を作るように命じたのだ。

どのようなテルマエにすれば良いのか悩むルシウスは再び現代へとタイムスリップ。
彼が現れたのは真実が働く風呂やトイレのショールームだった。
突然現れたルシウスを真実の連れ込んだ彼氏だと決めつける上司。
言葉の通じないルシウスは彼女たちを意に返さず、ショールームを歩き廻ると、トイレットペーパーや様々なトイレや風呂に驚く。
そしてアロマキャンドルの風呂や浴室テレビに感動を覚える。
だが、突然腹具合の悪くなったルシウスは急いでトイレへと駆け込むが、そこでウォシュレットを体験してその機能に愕然とする。同時にあまりの気持ちよさに、感動で涙を流すルシウス。
ルシウスがトイレで消えた後、真実は男を連れ込んだとして部長(蛭子能収)にクビを宣言されてしまった。

古代へと戻ったルシウスは早速見てきた泡風呂やアロマキャンドルや、水槽を設置した風呂を建設。更に水が出てお尻を洗浄するトイレの制作を行い、バドリアヌスからも絶賛される。
バドリアヌスから褒美を貰ったルシウスは妻に土産を買って帰るも、帰宅した自宅ではリウィアが男を連れ込んでいた。

妻を失い失意の底で暮らすルシウスの下にアントニヌス・ピウス(宍戸開)が一大事とやってくる。
バドリアヌスの愛人であった青年アンティノーがナイルへの視察中に死んでしまい、バドリアヌスはすっかり生きる気力を失ってしまっていた。
アントニヌス・ピウス(宍戸開)と相談しながら歩いていた時、女性と戯れるルキウス・ケイオニウス・コンモドゥス・ウェルス(北村一輝)を見かける。
ローマ人ながらテルマエには興味を示さないケイオニウス。バドリアヌス帝はこのケイオニウスを後継者として考えており、アントニヌスは彼にはまだ王としての器が足りず、バドリアヌス帝には続けてもらわなければならないと切に考えていた。
排水管の詰まった池の手入れをするルシウスはまたも現代へとタイムスリップする。

真実は漫画家の先生には才能がないと辞めるように言われ、派遣の仕事もクビになったことで故郷の温泉宿へと帰郷していた。
そこでは昔と変わらず館野(竹内力)や老人たち常連客の集まりとなっていた。
真実は常連客の一人、教授の最上(岩手太郎)にルシウスが残したコインを調べてもらうが、それらが古代ローマ時代の物であった。真実のいる場所に次々と現れる彼は真実の運命の相手ではないかと語る老人たち。
真実の母・山越由美(キムラ緑子)は真実に金持ちの息子との見合いを薦める。父の山越修造(笹野高史)はまだ早いのではと止めようとするも、宿の経営は苦しくここ数年赤字続きでこのままだと宿は無くなってしまうという事実を由美に任せきりだった修造は初めて知ることになる。

現代へと現れたルシウスは子宝を祈願する金精様に乗る女性(桜井千寿)の目の前に出現。祭りに参加していた女性たちはルシウスを金精様と思い込んで殺到。もみくちゃにされたルシウスはまたもタイムスリップしてしまう。

家のためにお見合いの話を受けることにした真実は伊丹登(松尾諭)とワニ園で会う事になるが、伊丹はすっかり真実を気に入る。
が、ワニの飼育小屋に突然ルシウスが出現した事に真実はびっくり。
伊丹がずぶ濡れのルシウスのためにタオルと着替えを取りに行っていた間に、ルシウスは真実を連れてワニ園を歩き回る。
平たい顔族がワニを養殖していると驚くルシウスは、更に温室で育てられた原種のバナナを目にして、これを持ち帰って育てればバドリアヌス帝も元気を取り戻すのではないかと考える。
真実はルシウスを温泉街へと案内。共に足湯に入ったり饅頭を食べたりしていたが、ルシウスのバナナが猿に盗まれてしまい、ルシウスはバナナを取り戻そうと必死に追いかける。
途中、猿を見失ってしまうルシウスだが、川の横に作られた露天風呂を発見する。
露天風呂という発想に驚かされて入浴していたルシウスは川の中にバナナが浮いているのを発見、慌てて川へと飛び込んで必死にバナナを回収しようともがく。

再び古代へと戻ったルシウスはバナナを持ち帰ったことに安堵。
バドリアヌス帝のために南国風の露天風呂を制作。アンティノーの銅像を建て、アンティノーの代わりに愛でていたワニも元気を取り戻していた。
自分のテルマエは平たい顔族の模倣でしかないことをバドリアヌス帝に告白しようとするルシウスだが、北方の蛮族による国境襲撃の報告が入り、バドリアヌス帝は遠征へ旅立ってしまう。

防衛戦は数で勝る蛮族の前に苦戦して長期化する。
ローマ軍は疲弊していき、気弱になったバドリアヌス帝はケイオニウスを養子として次期皇帝に推挙しようと考えるも、国民より慕われていないケイオニウスのためにテルマエを建設して、国民にケイオニウスの功績を認めさせて欲しいとルシウスに書簡を送ってくる。
だがテルマエを愛さず、女遊びに興じるケイオニウスに王としての資質を見つけられないルシウスは彼のためにテルマエを作るべきか悩む。だが断れば反逆罪になると恫喝するケイオニウス。
そんな時、ルシウスは彼の活躍で仕事を失った他のテルマエ技師の逆恨みから命を狙われ、井戸へと落下してしまう。

真実の実家がある温泉宿へとタイムスリップしてきたルシウスは、暖かい床で目を覚ます。
ルシウスの受けた傷はすっかり塞がっており、グルメな大西(木下貴夫)から薦められた温泉卵に舌鼓を打つルシウス。
更に以前入った露天風呂に傷を癒す効果があることを知ったルシウスは、館野の体に刻まれた事故の傷跡を見て、彼が千人隊長だと勘違い。
館野から薦められた酒を口にすると、酒が腐っていたため、毒を盛られたと勘違いしてしまう。
ルシウスが逃げた先には、宿の手伝いをしながらラテン語の勉強をしていた真実がいた。
毒を飲まされたと聞いた真実が慌てて毒消し効果のある温泉の湯をルシウスに飲ませると、ルシウスの苦しみは瞬く間に治る。
驚いたルシウスだったが、古代ローマへとまたも戻るが、今度は真実も一緒にタイムスリップしてしまった。

目覚めたルシウスの目の前にはケイオニウスがおり、彼は真実を気に入り自分の女にしようとする。だが、偶然通り掛ったアントニヌスが力づくでケイオニウスを止めて真実を救う。
ルシウスはケイオニウスのためのテルマエ作りをしないことを決意。
真実は誰にでも妥協しなければやらないことをあり、みんなやりたくない仕事でも仕方なくやっているとルシウスを諭そうとするも、ルシウスはそんな彼女たちの生き方を憐れだと語る。自分の誇りを捨ててまで仕事をしたくないというルシウスは真実の制止を振り切ると、戦場のバドリアヌスを訪ねてテルマエを作れないことを告げる。
そんな彼に、バドリアヌスは恩義があると罪には問わない事とするも、二度と自分の前に顔を見せるなと激怒する。

帰宅したルシウスは真実からアントニヌスがパンノニアに派遣されることを真実から聞かされる。裏でケイオニウスが糸を引いているのは明白だったが、上級役人ならば属州へ派遣されることは珍しくなかった。だが4・5年は派遣されると聞いた真実は、このままでは歴史が変わってしまうと焦る。
本来、パンノニアに派遣されるのはケイオニウスであり、彼はその派遣先で病死し、アントニヌスが第15代ローマ皇帝となるのだ。
そしてアントニヌスが元老院に嫌われてバドリアヌスの反対を説得して神格化される。
もしケイオニウスが皇帝となればバドリアヌスは未来においても暴君として語り継がれることになる。
真実から話を聞いたルシウスはケイオニウスに、皇帝に即位すればバドリアヌスを神格化してくれるかと問いただすも、元老院に嫌われているバドリアヌスを神格化することは無理だと語る。
ルシウスがテルマエ建設を断ったことを聞いていたケイオニウスは、彼の才能は偽物だったと侮辱する。自分のテルマエがただ平たい顔族の模倣に過ぎないと悩んでいたルシウスはその言葉に反論できなかった。

落ち込み続けるルシウスだが、真実の必死の励ましから勇気を取り戻すとアントニヌスのと下へ向かう。
その後、ルシウスは戦場にテルマエを建設して兵士たちの披露と傷を癒す事を提案するという、アントニヌスからの伝言を持ってバドリアヌスの下を訪れる。
アントニヌスの発案ではなくルシウスの考えではないのかというバドリアヌスに、あくまでもアントニヌスの案だと主張するルシウスに、バドリアヌスはテルマエ作りを承諾する。
野営地の側に真実の実家の温泉と同じ成分を持つ源泉を見つけていたルシウスはそこに温泉を作ろうと作業を開始する。
だが工夫たちの疲弊も激しく、温泉作りはまったく進まない。
そんな時、真実はローマ兵たちに連れられた修造たちと遭遇する。
修造、館野、岸本(外波山文明)、名倉(飯沼慧)、最上、大西も真実たちの後からタイムスリップしていたのだ。
温泉作りの話を聞いた修造は地面が温かい事に着目してオンドル小屋を作れば良いのだとアドバイスする。
かくして、彼ら平たい顔族の知識を取りいれながら、正しい歴史へと繋ぐために温泉作りを行うルシウスたち。そうした日々の中で、ルシウスと真実はお互いのこれからの生き方について影響を受けるようになっていった。

・古代ローマ人
ルシウス・モデストゥス:阿部寛
第14代ローマ皇帝バドリアヌス:市村正親
ルキウス・ケイオニウス・コンモドゥス:北村一輝
アントニヌス・ピウス:宍戸開
マルクス・ピエトラス:勝矢
リウィア:アナンダ

・平たい顔族
山越真実:上戸彩
山越修造:笹野高史
山越由美:キムラ緑子
館野(ヤーサン):竹内力
岸本(棟梁):外波山文明
名倉(長老):飯沼慧
最上(教授):岩手太郎
大西(グルメ):木下貴夫
銭湯にいる老人:いか八朗
銭湯にいる中年:神戸浩
銭湯にいる中年:長野克弘
平井道子(漫画家):内田春菊
平井卓三:菅登未男
ショールーム部長:蛭子能収
ショールーム社員:森下能幸
伊丹登(真実の見合い相手):松尾諭
金精様にのる女性:桜井千寿
敬太(ワニ園にいる双子):小野寺文哉
将太(ワニ園にいる双子):小野寺慶之


・Youtube動画


 【感想】
ヤマザキマリ原作の同名漫画の実写映画。
古代ローマ人であるルシウスが現代にタイムスリップして、ローマ時代に斬新な風呂作りをしていくというお話です。
ルシウスという人物自体は実在の人物です。
主要なキャストはローマ人も含めて日本人が担当しているものの、それ以外のローマ人は全て外国人が演じています。
しかし白人たちに交じっても遜色ない阿部寛のガタイの良さとかは凄いね。

シナリオは序盤はほぼ原作通りですが、オリジナルキャラクターの真実の登場や終盤の展開は独自の展開。
ルシウスが日本へ帰れなくなるのではなく、日本人がローマへやってくる展開となってます。
あと、とりあえず阿部ちゃんの裸満載で、どれだけケツが映ってるんだという感じです。
残念ながら上戸彩の入浴シーンはありません。別に期待もしていませんでしたが、あるのかと思っている人のためにご報告。

話は全体を通じてかなり笑いが起こってました。
ただ感じたのは原作を知らない方が純粋に楽しめる作品なのかもしれない。原作を見ているとオチが判ってしまうので爆笑でない場面もあったし。
ジャグジーのために必死に息を吹き込む奴隷たちとか、どれだけ大変なんだよ。
終盤はちょっとシリアスな展開となるので笑いは少な目ですが、それでも要所要所に笑いを散りばめてます。
そういえばシャンプーハットって現在でも現役で使われてるのだろうか。子供の頃に使った経験はあるけど、大人になってからは周りでも子供に対して使ってる人がいない。
一応売ってるから、使ってる人はいるのかな。

漫画家を目指す真実が北斗の拳のファン(真実の部屋には北斗の拳のポスターが貼られてました)で、ルシウスを最初に目撃した時に「ケンシロウ」と呟いたのは、劇場版『真救世主伝説 北斗の拳』で阿部寛が声を当てたから発生したネタでしょうか。
実写化で阿部ちゃんがケンシロウ役をやるという噂も出たぐらいだしね。
劇場ではあまり反応が無かったので気付かない人も多かったみたいだけど。

妻の浮気に関しては原作より若干マイルドにしたのは、そこにあまり尺を取りたくなかったからだろうな。原作では三下り半を叩きつけられたり、妊娠されたりと散々な結末だし。
浮気相手はマルクスのようにも見えたのだけど違うのかな。

真実は漫画家を目指していて、ルシウスをモデルに主人公として描こうとしている様子から、たぶん最後は『テルマエ・ロマエ』を描くのだろうと思っていたら予想通りだったな。

竹内力の存在感が半端ない。爺さんたちに交じって一人だけいるというのもあるのでしょうけど。
ローマでは猛獣扱いされてるし。

個人的評価:88点

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Author:黒虎
アニメや音楽・映画などの個人的主観に基づいた感想をつらつらと駄文で書き綴っています。

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大阪在住の関西人。

年中無休で貧乏人です
語学力はサッパリ。記憶力はトリです。感性もイマイチです。故に高尚な表現によるレビューなどは期待出来ません、あしからず。

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