輪るピングドラム 24TH STATION(最終回)「愛してる」
10年前、箱の中。
飢えと乾きに苦しむ高倉晶馬は、目の前の箱の中にいる高倉冠葉と言葉を交わす。
このまま眠ればもう目覚めない気がすると感じる二人。
黒いテディを配置するKIGAの会の男たちと行動を共にする冠葉の下へとやってきた晶馬は、高倉陽毬を返せと詰め寄る。
天蓋付きベッドで眠る陽毬の心音は既に止まり、ペンギン3号の体は薄く透け始めていた。
冠葉を止めると言っていた陽毬が、既に死んでいたとは。これでは何のために冠葉の下へ向かったのか判らないじゃないか。
この破壊活動を成功させる事だけが陽毬の命を唯一救う『生存戦略』だと語る冠葉。
ペンギン1号はエロDVDを叩き割り、ペンギン2号は頭で卵を破壊。
ペンギンたちは何の力比べをしてるんだ。
何者もこの運命を止める事は出来ない渡瀬眞悧はペンギンの帽子となっている荻野目桃果に「世界が壊れるところを見せてあげる」と語る。
飢えと乾きに苦しむ高倉晶馬は、目の前の箱の中にいる高倉冠葉と言葉を交わす。
このまま眠ればもう目覚めない気がすると感じる二人。
黒いテディを配置するKIGAの会の男たちと行動を共にする冠葉の下へとやってきた晶馬は、高倉陽毬を返せと詰め寄る。
天蓋付きベッドで眠る陽毬の心音は既に止まり、ペンギン3号の体は薄く透け始めていた。
冠葉を止めると言っていた陽毬が、既に死んでいたとは。これでは何のために冠葉の下へ向かったのか判らないじゃないか。
この破壊活動を成功させる事だけが陽毬の命を唯一救う『生存戦略』だと語る冠葉。
ペンギン1号はエロDVDを叩き割り、ペンギン2号は頭で卵を破壊。
ペンギンたちは何の力比べをしてるんだ。
何者もこの運命を止める事は出来ない渡瀬眞悧はペンギンの帽子となっている荻野目桃果に「世界が壊れるところを見せてあげる」と語る。
衰弱しながらも生き続けてきた二人は約束を交わす。
どちらかが生きてでる事が出来たら、もう一人の代わりにしたい事をする。
冠葉は大切な人に伝えて欲しい言葉がある。
晶馬も大切な人に伝えて欲しい言葉にしようと考えるも、誰に何を伝えれば良いのか思い浮かばない。
その時、冠葉は箱の隅にある物を見つけた。
人は生きるには光が必要であり、冠葉はその光を見つけた。
その光だけが冠葉の生きる意味。
世界は冠葉から光を奪おうとし、晶馬もまた世界に荷担して光を奪おうとしているのだという眞悧の言葉に揺らぐ晶馬。
「僕だけが、彼を救ってあげられるんだ。
光に届く力を、彼に与えられる。
君は彼に、何を与えられるの?」
冠葉にとって陽毬だけが唯一の生きる希望。
陽毬のためなら何でもする、というのはこれまでも描かれていた事ですが、何故実の妹よりも陽毬を選んでいるのか。やはり陽毬には妹としてではなく、女性としての愛情を抱いているからかな。
電車が四ッ谷に到着した時、荻野目苹果が運命の乗り換えをして陽毬を救うために電車に駆け込んできた。
だが日記は既に燃やされて、桃果の残した呪文を知らない。
苹果ちゃん、あの状況から立ち上がって電車にまで乗り込んでくるとは。この作品で一番タフな精神力を持ってるよね。
苹果はダブルHの二人、伊空ヒバリと歌田光莉から渡された新曲のCDの事を思い出していた。
陽毬が一番大切にしていた言葉をタイトルにした曲。
「言葉なら判る」
「マジで?」
「一番大切な言葉なら知ってるわ。
私はそれに賭ける」
呪文を使えば苹果が焼かれてしまうが、それでも一番大切な人を救いたいという苹果の心は動かない。
これが自分たちの運命。
苹果も自分たち兄弟も皆、過去に呪われているのだと語る。
これは晶馬にも呪文がなんなのか判った、という事だろうか。
箱の隅に苹果を見つけた冠葉。
しかし晶馬の箱の隅にはなく、冠葉が選ばれて、冠葉が生き残るだという晶馬は、大切な人への伝言を託した。
「やっと判ったよ。
あの時、僕達が出会った理由が……
この時のためだったんだ」
一番大切な言葉を託す。
陽毬の体が起きあがる。
「生存、戦略ー!」
久しぶりにプリンセス・オブ・ザ・クリスタルが来た!!!
黒いテディに乗った冠葉に、陽毬は迎えに来たと告げる。
陽毬に何もしておらずまだ帰る事が出来ないと拒絶する冠葉の心を示すように、ガラスの道が砕けて舞い散る。
「ねぇ、生きるって事は罰なんだね」
陽毬は自分が傷つくのも怖れずに歩み続ける。
「私、高倉家で暮らしている間、ずっと小さな罰ばかり受けてたよ」
「そうか……僕らは始まりから全て罰だったんだ」
「晶ちゃんは、子供の頃から口うるさいお母さんみたい。
脱いだ靴は揃えろとか、汚い言葉は使うなとか、夕飯は家族揃ってからとか。
冠ちゃんは、食事の後すぐ寝っ転がるよね。
牛になるよって言っても聞かないし。
後、鼻をかんだティッシュを放りっぱなしにするのは止めて。
そんなんだから、女にだらしない、ばっちぃ冠葉菌って言われちゃうんだよ」
両親から突然冠葉を兄と呼べと言われて、直ぐに受け入れる事の出来なかった晶馬。
それでも自分たちは一緒にいられた。どんな小さな罰も大切な思い出。
陽毬が生きていられたのは、冠葉と晶馬がいたから。
どんなに辛い事や哀しい事でも大切な思い出、という事ですね。
しかし陽毬にとって晶馬は特別な存在だったのに、扱いはおかんなのか。
高倉陽毬でいた事を忘れたくも、失いたくもないと訴えかける陽毬。
「お願い、帰ってきて……冠ちゃん」
「ダメだ。俺は……
俺はまだお前に、何も与えていない」
体が弾けて苦しみ藻掻く冠葉を陽毬は抱きしめる。
冠葉の体の異常は眞悧の申し出を受け入れたにもかかわらず、それに逆らおうとしている事による罰だろうか。
家の壁にペンキを塗ろうと提案したのは冠葉だった。
反対する晶馬に、陽毬が笑顔で帰って来られるようにするためなら何でもすると語った。
雨の中、ゴミ捨て場で見つけた陽毬のベッドを晶馬と一緒に持って帰った。
「楽しかった、ありがとう……
返すよ、あの日、兄貴が僕に分け与えた物。
僕にくれた命……
僕達の愛も、僕達の罰も、みんな分け合うんだ。
これが、僕達の始まり……
運命だったんだ!」
晶馬は自らの胸に手を突き刺すと、そこから赤い玉を取り出す。
晶馬から差し出されたそれ――ピングドラムを受け取った陽毬は冠葉に差し出す。
晶馬は苹果の言葉からピングドラムの正体に気付くことが出来たわけだな。
10年前のあの日、冠葉は見つけた苹果を半分に割ると、晶馬へと差し出した。
「運命の果実を……一緒に食べよう」
二人のピングドラムは10年前に分け合った林檎だった、という事か。
「運命の果実を、一緒に食べよう!!!」
苹果が運命を乗り換える呪文を叫び、苹果は炎に焼かれる。
そんな苹果を抱きしめる晶馬。
冠葉は陽毬を抱きかかえ、運命を乗り換えへと向かう。冠葉の体はガラス片となって崩れ始める。
陽毬が一番大切に思っていた言葉。つまりは晶馬が陽毬に告げた言葉だったわけだね。
記憶を失っていた陽毬は覚えてなかっただろうけど、その言葉だけは何故か大切だと感じていたのか。
「君たちは決して呪いから出る事が出来ない。
僕がそうであるように、箱の中の君たちが何かを得る事などない。
この世界に何も残さず、ただ消えるんだ。
塵一つ残せないのさ。
君たちは絶対に幸せになんかなれない!」
呪いの言葉を残すように冠葉へ告げる眞悧だが、冠葉は決して歩みを止めない。
「晶馬、俺は手に入れたよ。
本当の光を!!」
体が砕け散りながら、冠葉は陽毬を乗り換えの列車へと乗せると、冠葉の体は完全に砕け散って消滅する。
呪われていた冠葉は陽毬を救い、消滅した。喩え我が身が滅んでも、陽毬さえ救えればそれで良いというのが冠葉の思いなんだな。
蠍の炎に焼かれ苦しむ苹果と共にいる晶馬。
「これは、僕達の罰だから……
ありがとう、愛してる」
苹果の体から変えた炎は晶馬へと移り、晶馬の体を燃やし、晶馬の体は消え去る。
晶馬は苹果の気持ちを受け入れて、彼女のために命を落とす道を選択。
兄弟揃って、愛する女性のために消える事を選択したのか。
そして運命は乗り換えられた。
「列車はもう行っちゃったわ。
あなたは何処にもいけないの」
「列車は、また来るさ」
「さあ……でも私はもう行くわ」
「そう……」
「さよなら」
桃果は二つの帽子を持って、眞悧の前から去っていく。
桃果は乗り換え列車にも乗っていないので、果たして何処へ去っていったのか。
眞悧は消滅するでもなく、ただ取り残されて次の列車が来るのをただ待ち受けるだけとなったのか。
陽毬が入ったあの図書館が、その場所だったのだろうか。
それにしても桃果はどこであの呪文と日記を手に入れたのだろう。それにあの異様なまでに大人びた性格は様々なものを見てしまったがために、身に付いたのかな。
池袋に到着した列車は大騒ぎとなっていた。
黒いテディは白いテディへと代わり、列車の中に陽毬と苹果が倒れていた。
爆弾の入った黒テディは安全な白テディになったのだね。
そういや、元ピングフォースのメンバーだった男たちは何処へ消えたんだろうか。運命が乗り換えられた時点で、彼らはもうKIGAの会の構成員ではなくなったのかな。
多蕗桂樹は時籠ゆりに何故自分たちがこの世界に残されたのか、ようやく判ったと語る。
「君と僕は、予め失われた子供だった。
でも、世界中のほとんどの子供達は僕らと一緒だよ。
だからたった一度でも良い、誰かの“愛してる”って言葉が必要だった」
「たとえ運命が全てを奪ったとしても、愛された子供は、きっと幸せを見つけられる。
私たちはそれをするために、世界に残されたのね」
「愛してるよ」
「愛してるわ」
手を握り合うゆりと多蕗。
この二人だけは運命が乗り換えられる前の世界を覚えているという事だろうか。
遠回りしたけど、なんだかんだでハッピーエンドを迎えた二人。
一番幸せになれそうになかった二人が一番良い終わりを迎えたんだな。
そして夏芽真砂子は元気になった夏芽マリオに起こされる。
不思議な夢を見ていた。
双子の兄がいた夢。
不器用な、でも自分の事を大切な妹だと言ってくれた兄。
マリオは運命が乗り換えられた事で助かったのか。ただ真砂子は冠葉の存在を忘れてしまったんだな。冠葉と晶馬が存在しない世界となった、という事だとして、父親の事はどういう扱いとなったのか、とか気になるところはあるけど。
陽毬はあの高倉の家で1人、暮らしていた。
陽毬と苹果は電車で倒れて運ばれた病院で、苹果と友達となった。
水族館での思い出の家族写真は、動物園の猿山で、陽毬だけの写る写真へと変わっていた。
あの写真の二人は叔父さんと叔母さん? それとも新しい世界での両親なのか悩みどころ。いずれにしても冠葉たちの思い出は綺麗に消えてる。
ダブルHの新曲CDを捜す陽毬は、ぬいぐるみのお腹の中から紙を発見する。
「大スキだよ!! お兄ちゃんより」
覚えのない兄からのメッセージに、陽毬は何故か涙を流す。
メッセージを残したのは冠葉でしょうか。それとも二人からなのか。
家の前で宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』について語る合う二人の少年が通り過ぎている。
それは第1話と同じ光景。
第1話で子供たちは林檎は愛を選んだ者に対する御褒美だと語っていて、愛の話だと力説していたわけですが。
3羽のペンギンは高倉家を後にして二人の少年の後を追い掛ける、エスメラルダはそんな3羽を電信柱の影から見つめる。
冠葉と晶馬はまったく別の子供として生まれ変わった、という事なのだろうか。
そういや、このペンギンたちは結局何だったのか。
「私は、運命って言葉が好き。
信じてるよ、いつだって一人なんかじゃない」
きっと陽毬の側には見えない二人がいてくれているのでしょう。
何処へ行くのか、行き先を決めていない少年たち……
忘れないよ、絶対に……
ずっと、ずっと……
そんなわけで終わりました。
回想シーンが多かった印象がとても強いかな。
謎は多くて、かなりの謎が残ったままの最後にもなった。
結局、冠葉と晶馬が入っていた箱の謎は不明のまま。
何故あの二人はあんな箱に閉じこめられていたのか。
眞悧がここまでして世界を壊そうとした理由も不明だな。
両親の死亡理由も判らず仕舞い。
謎は小説などを読む事で明らかになっていくのだろうか。
序盤は明るく笑いも多かった作品で、半分を過ぎた辺りからドンドン話が重たくなっていった感じ。
まぁ、如何にもこのスタッフらしいという感じもあり、初期のオープニングからもそうした傾向は僅かながらも見えていたんだけどね。
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どちらかが生きてでる事が出来たら、もう一人の代わりにしたい事をする。
冠葉は大切な人に伝えて欲しい言葉がある。
晶馬も大切な人に伝えて欲しい言葉にしようと考えるも、誰に何を伝えれば良いのか思い浮かばない。
その時、冠葉は箱の隅にある物を見つけた。
人は生きるには光が必要であり、冠葉はその光を見つけた。
その光だけが冠葉の生きる意味。
世界は冠葉から光を奪おうとし、晶馬もまた世界に荷担して光を奪おうとしているのだという眞悧の言葉に揺らぐ晶馬。
「僕だけが、彼を救ってあげられるんだ。
光に届く力を、彼に与えられる。
君は彼に、何を与えられるの?」
冠葉にとって陽毬だけが唯一の生きる希望。
陽毬のためなら何でもする、というのはこれまでも描かれていた事ですが、何故実の妹よりも陽毬を選んでいるのか。やはり陽毬には妹としてではなく、女性としての愛情を抱いているからかな。
電車が四ッ谷に到着した時、荻野目苹果が運命の乗り換えをして陽毬を救うために電車に駆け込んできた。
だが日記は既に燃やされて、桃果の残した呪文を知らない。
苹果ちゃん、あの状況から立ち上がって電車にまで乗り込んでくるとは。この作品で一番タフな精神力を持ってるよね。
苹果はダブルHの二人、伊空ヒバリと歌田光莉から渡された新曲のCDの事を思い出していた。
陽毬が一番大切にしていた言葉をタイトルにした曲。
「言葉なら判る」
「マジで?」
「一番大切な言葉なら知ってるわ。
私はそれに賭ける」
呪文を使えば苹果が焼かれてしまうが、それでも一番大切な人を救いたいという苹果の心は動かない。
これが自分たちの運命。
苹果も自分たち兄弟も皆、過去に呪われているのだと語る。
これは晶馬にも呪文がなんなのか判った、という事だろうか。
箱の隅に苹果を見つけた冠葉。
しかし晶馬の箱の隅にはなく、冠葉が選ばれて、冠葉が生き残るだという晶馬は、大切な人への伝言を託した。
「やっと判ったよ。
あの時、僕達が出会った理由が……
この時のためだったんだ」
一番大切な言葉を託す。
陽毬の体が起きあがる。
「生存、戦略ー!」
久しぶりにプリンセス・オブ・ザ・クリスタルが来た!!!
黒いテディに乗った冠葉に、陽毬は迎えに来たと告げる。
陽毬に何もしておらずまだ帰る事が出来ないと拒絶する冠葉の心を示すように、ガラスの道が砕けて舞い散る。
「ねぇ、生きるって事は罰なんだね」
陽毬は自分が傷つくのも怖れずに歩み続ける。
「私、高倉家で暮らしている間、ずっと小さな罰ばかり受けてたよ」
「そうか……僕らは始まりから全て罰だったんだ」
「晶ちゃんは、子供の頃から口うるさいお母さんみたい。
脱いだ靴は揃えろとか、汚い言葉は使うなとか、夕飯は家族揃ってからとか。
冠ちゃんは、食事の後すぐ寝っ転がるよね。
牛になるよって言っても聞かないし。
後、鼻をかんだティッシュを放りっぱなしにするのは止めて。
そんなんだから、女にだらしない、ばっちぃ冠葉菌って言われちゃうんだよ」
両親から突然冠葉を兄と呼べと言われて、直ぐに受け入れる事の出来なかった晶馬。
それでも自分たちは一緒にいられた。どんな小さな罰も大切な思い出。
陽毬が生きていられたのは、冠葉と晶馬がいたから。
どんなに辛い事や哀しい事でも大切な思い出、という事ですね。
しかし陽毬にとって晶馬は特別な存在だったのに、扱いはおかんなのか。
高倉陽毬でいた事を忘れたくも、失いたくもないと訴えかける陽毬。
「お願い、帰ってきて……冠ちゃん」
「ダメだ。俺は……
俺はまだお前に、何も与えていない」
体が弾けて苦しみ藻掻く冠葉を陽毬は抱きしめる。
冠葉の体の異常は眞悧の申し出を受け入れたにもかかわらず、それに逆らおうとしている事による罰だろうか。
家の壁にペンキを塗ろうと提案したのは冠葉だった。
反対する晶馬に、陽毬が笑顔で帰って来られるようにするためなら何でもすると語った。
雨の中、ゴミ捨て場で見つけた陽毬のベッドを晶馬と一緒に持って帰った。
「楽しかった、ありがとう……
返すよ、あの日、兄貴が僕に分け与えた物。
僕にくれた命……
僕達の愛も、僕達の罰も、みんな分け合うんだ。
これが、僕達の始まり……
運命だったんだ!」
晶馬は自らの胸に手を突き刺すと、そこから赤い玉を取り出す。
晶馬から差し出されたそれ――ピングドラムを受け取った陽毬は冠葉に差し出す。
晶馬は苹果の言葉からピングドラムの正体に気付くことが出来たわけだな。
10年前のあの日、冠葉は見つけた苹果を半分に割ると、晶馬へと差し出した。
「運命の果実を……一緒に食べよう」
二人のピングドラムは10年前に分け合った林檎だった、という事か。
「運命の果実を、一緒に食べよう!!!」
苹果が運命を乗り換える呪文を叫び、苹果は炎に焼かれる。
そんな苹果を抱きしめる晶馬。
冠葉は陽毬を抱きかかえ、運命を乗り換えへと向かう。冠葉の体はガラス片となって崩れ始める。
陽毬が一番大切に思っていた言葉。つまりは晶馬が陽毬に告げた言葉だったわけだね。
記憶を失っていた陽毬は覚えてなかっただろうけど、その言葉だけは何故か大切だと感じていたのか。
「君たちは決して呪いから出る事が出来ない。
僕がそうであるように、箱の中の君たちが何かを得る事などない。
この世界に何も残さず、ただ消えるんだ。
塵一つ残せないのさ。
君たちは絶対に幸せになんかなれない!」
呪いの言葉を残すように冠葉へ告げる眞悧だが、冠葉は決して歩みを止めない。
「晶馬、俺は手に入れたよ。
本当の光を!!」
体が砕け散りながら、冠葉は陽毬を乗り換えの列車へと乗せると、冠葉の体は完全に砕け散って消滅する。
呪われていた冠葉は陽毬を救い、消滅した。喩え我が身が滅んでも、陽毬さえ救えればそれで良いというのが冠葉の思いなんだな。
蠍の炎に焼かれ苦しむ苹果と共にいる晶馬。
「これは、僕達の罰だから……
ありがとう、愛してる」
苹果の体から変えた炎は晶馬へと移り、晶馬の体を燃やし、晶馬の体は消え去る。
晶馬は苹果の気持ちを受け入れて、彼女のために命を落とす道を選択。
兄弟揃って、愛する女性のために消える事を選択したのか。
そして運命は乗り換えられた。
「列車はもう行っちゃったわ。
あなたは何処にもいけないの」
「列車は、また来るさ」
「さあ……でも私はもう行くわ」
「そう……」
「さよなら」
桃果は二つの帽子を持って、眞悧の前から去っていく。
桃果は乗り換え列車にも乗っていないので、果たして何処へ去っていったのか。
眞悧は消滅するでもなく、ただ取り残されて次の列車が来るのをただ待ち受けるだけとなったのか。
陽毬が入ったあの図書館が、その場所だったのだろうか。
それにしても桃果はどこであの呪文と日記を手に入れたのだろう。それにあの異様なまでに大人びた性格は様々なものを見てしまったがために、身に付いたのかな。
池袋に到着した列車は大騒ぎとなっていた。
黒いテディは白いテディへと代わり、列車の中に陽毬と苹果が倒れていた。
爆弾の入った黒テディは安全な白テディになったのだね。
そういや、元ピングフォースのメンバーだった男たちは何処へ消えたんだろうか。運命が乗り換えられた時点で、彼らはもうKIGAの会の構成員ではなくなったのかな。
多蕗桂樹は時籠ゆりに何故自分たちがこの世界に残されたのか、ようやく判ったと語る。
「君と僕は、予め失われた子供だった。
でも、世界中のほとんどの子供達は僕らと一緒だよ。
だからたった一度でも良い、誰かの“愛してる”って言葉が必要だった」
「たとえ運命が全てを奪ったとしても、愛された子供は、きっと幸せを見つけられる。
私たちはそれをするために、世界に残されたのね」
「愛してるよ」
「愛してるわ」
手を握り合うゆりと多蕗。
この二人だけは運命が乗り換えられる前の世界を覚えているという事だろうか。
遠回りしたけど、なんだかんだでハッピーエンドを迎えた二人。
一番幸せになれそうになかった二人が一番良い終わりを迎えたんだな。
そして夏芽真砂子は元気になった夏芽マリオに起こされる。
不思議な夢を見ていた。
双子の兄がいた夢。
不器用な、でも自分の事を大切な妹だと言ってくれた兄。
マリオは運命が乗り換えられた事で助かったのか。ただ真砂子は冠葉の存在を忘れてしまったんだな。冠葉と晶馬が存在しない世界となった、という事だとして、父親の事はどういう扱いとなったのか、とか気になるところはあるけど。
陽毬はあの高倉の家で1人、暮らしていた。
陽毬と苹果は電車で倒れて運ばれた病院で、苹果と友達となった。
水族館での思い出の家族写真は、動物園の猿山で、陽毬だけの写る写真へと変わっていた。
あの写真の二人は叔父さんと叔母さん? それとも新しい世界での両親なのか悩みどころ。いずれにしても冠葉たちの思い出は綺麗に消えてる。
ダブルHの新曲CDを捜す陽毬は、ぬいぐるみのお腹の中から紙を発見する。
「大スキだよ!! お兄ちゃんより」
覚えのない兄からのメッセージに、陽毬は何故か涙を流す。
メッセージを残したのは冠葉でしょうか。それとも二人からなのか。
家の前で宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』について語る合う二人の少年が通り過ぎている。
それは第1話と同じ光景。
第1話で子供たちは林檎は愛を選んだ者に対する御褒美だと語っていて、愛の話だと力説していたわけですが。
3羽のペンギンは高倉家を後にして二人の少年の後を追い掛ける、エスメラルダはそんな3羽を電信柱の影から見つめる。
冠葉と晶馬はまったく別の子供として生まれ変わった、という事なのだろうか。
そういや、このペンギンたちは結局何だったのか。
「私は、運命って言葉が好き。
信じてるよ、いつだって一人なんかじゃない」
きっと陽毬の側には見えない二人がいてくれているのでしょう。
何処へ行くのか、行き先を決めていない少年たち……
忘れないよ、絶対に……
ずっと、ずっと……
そんなわけで終わりました。
回想シーンが多かった印象がとても強いかな。
謎は多くて、かなりの謎が残ったままの最後にもなった。
結局、冠葉と晶馬が入っていた箱の謎は不明のまま。
何故あの二人はあんな箱に閉じこめられていたのか。
眞悧がここまでして世界を壊そうとした理由も不明だな。
両親の死亡理由も判らず仕舞い。
謎は小説などを読む事で明らかになっていくのだろうか。
序盤は明るく笑いも多かった作品で、半分を過ぎた辺りからドンドン話が重たくなっていった感じ。
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