花咲くいろは 第二十五話「私の好きな喜翠荘」
喜翠荘の代表としてぼんぼり祭の手伝いをする松前緒花。
一緒に準備を行う和倉結名はもう願い事を考えたかと訊ねてくる。
結名は留学したいらしい。理由は外国のホテル事情とかを知りたいからという事なので、旅館経営に関わるつもりはあるようだ。それは福屋を継ぐつもりなのか、例の婚約者と結婚するつもりなのかは判らないけど。
結名は福屋の女将の孫だけど、彼女が継がなかった場合はどうするんだろうか。とりあえずは全く出て来ない両親が継いだとしても、その後は誰か別の人間に明け渡すのかな。
喜翠荘にやってきて毎日を忙しく過ごすようになった緒花は、自分の夢について考える。
大量の予約に人手不足となっている喜翠荘。
四十万縁と川尻崇子は朝食を部屋毎で取るのではなく、バイキング形式に変更することにする。
部屋での朝食を楽しみにしているお客様もいると異論を唱えた押水菜子だが、鶴来民子は板場が廻らないのだから仕方ないと厳しく批判する。
輪島巴がチェックアウト後の部屋の掃除も手が回らない事を指摘すると、崇子は部屋毎の担当も辞めて自分も加わると告げる。
そこにやってきた四十万スイはまた客を取ったのかと呆れる。
これ以上とるなというスイの指示を無視して客を増やし続けている縁は、他の旅館はもっと多くてもやっていると異論を口にするが、全員が集まってあれこれと悩んでいる状態を指摘される。
実際、まともに回せてないから問題が出ているんだよね。他の旅館が回せるのは普段からそれに応じた仕事をやっていて、人手もあるからだろう。
バイキングでも料理を手抜きするつもりはないという富樫蓮二や宮岸徹、巴もサービスを低下させるつもりないと強く反論。
そんな彼らの様子に、スイはぼんぼり祭だけは今までどおりやってもらうという事を条件に、引き下がることにする。
彼らを認めたからではなく、何を言ったところで無駄だと諦めたからだろう。
一緒に準備を行う和倉結名はもう願い事を考えたかと訊ねてくる。
結名は留学したいらしい。理由は外国のホテル事情とかを知りたいからという事なので、旅館経営に関わるつもりはあるようだ。それは福屋を継ぐつもりなのか、例の婚約者と結婚するつもりなのかは判らないけど。
結名は福屋の女将の孫だけど、彼女が継がなかった場合はどうするんだろうか。とりあえずは全く出て来ない両親が継いだとしても、その後は誰か別の人間に明け渡すのかな。
喜翠荘にやってきて毎日を忙しく過ごすようになった緒花は、自分の夢について考える。
大量の予約に人手不足となっている喜翠荘。
四十万縁と川尻崇子は朝食を部屋毎で取るのではなく、バイキング形式に変更することにする。
部屋での朝食を楽しみにしているお客様もいると異論を唱えた押水菜子だが、鶴来民子は板場が廻らないのだから仕方ないと厳しく批判する。
輪島巴がチェックアウト後の部屋の掃除も手が回らない事を指摘すると、崇子は部屋毎の担当も辞めて自分も加わると告げる。
そこにやってきた四十万スイはまた客を取ったのかと呆れる。
これ以上とるなというスイの指示を無視して客を増やし続けている縁は、他の旅館はもっと多くてもやっていると異論を口にするが、全員が集まってあれこれと悩んでいる状態を指摘される。
実際、まともに回せてないから問題が出ているんだよね。他の旅館が回せるのは普段からそれに応じた仕事をやっていて、人手もあるからだろう。
バイキングでも料理を手抜きするつもりはないという富樫蓮二や宮岸徹、巴もサービスを低下させるつもりないと強く反論。
そんな彼らの様子に、スイはぼんぼり祭だけは今までどおりやってもらうという事を条件に、引き下がることにする。
彼らを認めたからではなく、何を言ったところで無駄だと諦めたからだろう。
結名から貰ったぼんぼり祭の望み札を持ってきた緒花だが、従業員たちは皆忙しさを理由に受け取ろうとせず、唯一悩んだなこちも巴に呼ばれて行ってしまう。そんな中、助川電六だけが受け取る。
豆爺に自分も喜翠荘が好きだが、何か違うのだと相談する緒花。
そこにゴミ捨てにやってきたみんちは、女将さんの味方を辞めろと言う。緒花には帰る場所があるかもしれないが、自分にはここしかない、緒花も同じだと思っていたと言い放つ。
喜翠荘を守りたい、続けたいという気持ちは緒花も同じなんだけど、向いてるベクトルが違いすぎるんだろう。だから緒花は彼女たちに賛同できない。
そもそも敵だ味方だと言ってる時点で何のためにやってるのか、という状態なんだよね。
「みなさんよい子……
喜翠荘で働く皆さんはよい子」
豆爺の言葉に緒花は涙を流す。
話を立ち聞きしていた徹。
豆爺だけは良い人です。
これで徹が少しでも考えを改めるのかと思いきや、全くそんな事もなく。
暫く泊まり込みで働くことになったなこち。
みんなが頑張ってるというなこちに、緒花は頑張ってはいるけど、ぼんぼってる訳ではない、と呟く。
ぼんぼるというのはただ頑張るのではなく、願いを叶えようと努力する事だからね。
翌日は4時起きだというみんちが早々に消灯してしまい、折角なこちもいるのにおしゃべりすら出来ず、緒花は窮屈すぎて嫌だと感じる。
なこちは弟たちの面倒みたり、家事をしたりしなきゃいけないはずだったのに大丈夫なのか? まぁ、本来親がやれば良い事なんだけど。
朝、散歩していた時にやってきた徹と出会った緒花。
徹は自分がみんなに話をしてやるから手伝うように告げる。
いつもの緒花なら、周りをかき回してでも前向きにする筈であり、変わったのは喜翠荘ではなく緒花だと言い残して立ち去る。
徹は自分たちがおかしくなっている、という事には一切気付けてないんですね。
バイキングの料理も手抜きはしておらず、若い子は喜んでくれるが、常連のお客はゆっくりできるのが良かったのにと残念がる。
奥さんは旦那をこれはこれで楽しいと慰めてるけど、これで常連が一組失ってしまったんだろうな。
地元の絵師による絵画を飾って画廊にするという縁。
喜翠荘は変わるという縁の言葉に、自分の大好きな喜翠荘とぼんぼり祭を種村孝一に見せたかったのに、と考える緒花は、孝一を招待していた事を思い出してスイに相談すると、スイは自分の部屋に友達として泊まって貰えばいいという。
そんな優しいスイに、身体は大丈夫かと心配してデコピンを喰らう。
授業中に居眠りをしてしまうみんち。
そんなみんちに話し掛けようとする緒花だが、みんちは緒花を無視する。
結名はみんちが緒花の事を好きだから、女将の味方をしている緒花に対してむくれているのだと告げる。
慌ただしい板場の中、みんちは板前修業で喜翠荘に拘るのは、ここにいるみんなが大好きだからだと考える。その中で緒花の事を思い出して、思わず「ホビロン」と叫んでしまう。
蓮さんと徹と揃ってそんな料理は出せないって、どれだけ余裕無くなってるんだよ。
そこにやってきた巴がお椀が出ていないとクレームが上がっている事を告げ、変更が入って忙しいという蓮二と口論になる。
口論を続ける二人に、縁は言い合いをしている場合ではない。喜翠荘を救いたいのではないかと叫び、二人は押し黙る。
精神的なゆとりが無くなって仕事にミスが出てきて、空気もギスギスし始めてる。
最早、みんなが守りたかった喜翠荘がそこにない事に誰も気付いてない。
お客様一人一人に合わせたきめ細やかなサービスを提供するのが、喜翠荘の売りである筈なのに、大勢の客をさばく事が目的の効率重視のサービスになってしまっている。
それでは常連客は付かないだろう。ホテルと変わりないのだし、そうすればホテルの方が安く、人手が多い分より質の高いサービスもあるのだから。
掃除をする緒花とおなこちは家族連れを送り出した。
と、なこちが「何か違う気がする」と呟く。
喜翠荘が好きななこちは、みんなが女将の方ばかり見ているといると感じ取っていた。
押しの弱いなこちだから緒花のように自分の思うように動く事が出来ず、みんなと一緒に働いているけど、緒花と同じく今のやり方に不満を感じ取っていたのですね。
女将の本当の気持ちを聞いているんじゃないかと詰め寄る。
女将が自分の好きな喜翠荘を作り上げた人だから、と事情を問いつめる。
話を聞いたなこちは、女将は自分の夢に走れる人間だから、自分の夢を持つ事が出来ず、夢について行く事が夢になる人間がいる事が判らないのだと言う。
その話を立ち聞きしている人影が……
みんなが願い札を書いていないと知った結名は、緒花は舐められていると自分が催促に行くが、二人が喜翠荘にやってくると、巴が階段で足を滑らせて怪我をしていた。
ゆとりが無くなっているから焦って無茶をして怪我をする、完全に悪循環。
その頃、松前皐月が湯乃鷺へとやってこようとしていた。
まさかのママン襲来。
足を捻挫してしまった巴に、縁は組合にヘルプを頼もうと言うも、結名が福屋も頼んだがぼんぼり祭でどこも人でが不足していて無理だと断られた事を告げる。
組合費は払っているだろうから資格はあるんだろうが、ぼんぼり祭りに人手すら割こうとしなかったのに、大変だから手を貸してと頼むのは無視の良い話だと思うけど。
そもそも余裕のない状態で仕事をするから、何かあった時に途端に首が回らなくなるんだよ。いざという時のために、常に少しの余力をとっておかないといけないのですよ。
女将に負けるみたいだから、と無理をしようする巴に、お客に喜んでもらうのではなく女将に勝つのが目的となっている事を指摘する。
勝たなきゃ喜翠荘が無くなると反発する徹。
彼らは何か勘違いしているのだけど、沢山の客をさばく事が出来れば、女将に勝った事になって、喜翠荘を続けることになれると思っているけど、スイは一言もそんな約束をしていないのですよ。
たとえ今のまま客を回したとしても、こんなその場凌ぎのやり方なんて何時までも持つわけがないのだし、スイも認める筈がないから意思を変えられないことぐらい気付かないのか。今の彼らが守ろうとしているのは、喜翠荘という器だけで中身が別物なんだよ。
そんな中、なこちは今の喜翠荘は自分の好きな喜翠荘ではないと告げる。
「私の好きな喜翠荘を返してください。
返してください!
やっと、自分が自分らしくいられる場所をみつけたのに」
なこちの言葉に押し黙る一同。
変なモノローグを入れる次郎丸太朗をみんなが冷たい視線を向ける。
一番空気読めない人だからな……
そういや、次郎丸は縁たちと一緒に頑張ってるけど、喜翠荘が続くことになれば借金そのままだけど、それは良いのか?
スイが自分が仲居として手伝うと言い出した。
女将に手伝ってもらう事に抵抗を感じる縁たち。
と、飄々と現れた皐月が、緒花の部屋でも良いので止めてくれれば仕事も手伝うと言い出す。
でも緒花の部屋はもういっぱいですよ。どの部屋に泊まったんだろう。空き部屋があったのか、それとも女将の部屋に泊ったのか。
これは戦いであり、女将や皐月に手伝ってもらうわけにはいかないと反発するも、崇子に個人的な感情を持ち込むなと叱られてしまう。
現状の打開よりもスイに対する反発による自分の意地を優先してしまうところが本当にダメ男。そんな事だから経営者の才能がないと言われてしまうんだよ。本当に続けたいのなら、自分が頭を下げてでも2人に頼まないといけない筈なのに。
そもそも今の客だって皐月の記事があればこそで、既に力を借りてしまってるだろう。
そしてぼんぼり祭当日。
慌ただしい喜翠荘。
皐月に指示する事を躊躇う縁だが、皐月は仲居として働き、スイも今日の自分は仲居なのだからちゃんと指示するように告げる。
それにしても今まで仲居の仕事なんてしてこなかったのに、ちゃんとこなせている皐月が凄すぎるよ。幼い頃から見てきたというのがあるにしても、やはり旅館仕事の才能があるんだろうな。弟と違って……
緒花は階段で具合が悪そうにしているスイを見つけて駆け寄る。
「旅館商売はお客様が第一。
自分たちの事は二の次三の次。
でもね、私はそれが楽しかったんだ」
自分の仕事に戻れというスイに従う緒花。
スイは自分のことを犠牲にしてでも仕事をしていたのは、楽しかったので良かったけど、その事が皐月たちに辛い思いをさせたのだけが後悔となってるのだろう。自分が楽しむために娘たちを犠牲にしたという思いがあるからこそ、喜翠荘を閉じると言い出したのだし。
緒花は自分の体調を押しても、今の喜翠荘を回そうとしているスイがそれを喜んでいるのだと知って、スイを気遣うよりも仕事をする事を選択したのだろうか。
――不思議だった。
――みんなが頑張るこの場所で……
――ママと女将さんが、一緒に働いて……
――私、気付いたんだ。
――私の夢は……
親子三人揃い踏みで仲居仕事。
食事の準備を終えて一段落した一同に、ぼんぼり祭へ行くとスイが呼びかける。
……あれ? 孝ちゃんは? なんでまだ来てないの?
この後にやってくるのかな。
次回 第二十五話「花咲くいつか」
好きです! 大好きです!
許されるならもう一度……あなた……
緒花は孝一に告白して、スイはもう一度だけ夢を見てみようかと思うようになり、喜翠荘の閉館を取り止めるという事になるのか。
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豆爺に自分も喜翠荘が好きだが、何か違うのだと相談する緒花。
そこにゴミ捨てにやってきたみんちは、女将さんの味方を辞めろと言う。緒花には帰る場所があるかもしれないが、自分にはここしかない、緒花も同じだと思っていたと言い放つ。
喜翠荘を守りたい、続けたいという気持ちは緒花も同じなんだけど、向いてるベクトルが違いすぎるんだろう。だから緒花は彼女たちに賛同できない。
そもそも敵だ味方だと言ってる時点で何のためにやってるのか、という状態なんだよね。
「みなさんよい子……
喜翠荘で働く皆さんはよい子」
豆爺の言葉に緒花は涙を流す。
話を立ち聞きしていた徹。
豆爺だけは良い人です。
これで徹が少しでも考えを改めるのかと思いきや、全くそんな事もなく。
暫く泊まり込みで働くことになったなこち。
みんなが頑張ってるというなこちに、緒花は頑張ってはいるけど、ぼんぼってる訳ではない、と呟く。
ぼんぼるというのはただ頑張るのではなく、願いを叶えようと努力する事だからね。
翌日は4時起きだというみんちが早々に消灯してしまい、折角なこちもいるのにおしゃべりすら出来ず、緒花は窮屈すぎて嫌だと感じる。
なこちは弟たちの面倒みたり、家事をしたりしなきゃいけないはずだったのに大丈夫なのか? まぁ、本来親がやれば良い事なんだけど。
朝、散歩していた時にやってきた徹と出会った緒花。
徹は自分がみんなに話をしてやるから手伝うように告げる。
いつもの緒花なら、周りをかき回してでも前向きにする筈であり、変わったのは喜翠荘ではなく緒花だと言い残して立ち去る。
徹は自分たちがおかしくなっている、という事には一切気付けてないんですね。
バイキングの料理も手抜きはしておらず、若い子は喜んでくれるが、常連のお客はゆっくりできるのが良かったのにと残念がる。
奥さんは旦那をこれはこれで楽しいと慰めてるけど、これで常連が一組失ってしまったんだろうな。
地元の絵師による絵画を飾って画廊にするという縁。
喜翠荘は変わるという縁の言葉に、自分の大好きな喜翠荘とぼんぼり祭を種村孝一に見せたかったのに、と考える緒花は、孝一を招待していた事を思い出してスイに相談すると、スイは自分の部屋に友達として泊まって貰えばいいという。
そんな優しいスイに、身体は大丈夫かと心配してデコピンを喰らう。
授業中に居眠りをしてしまうみんち。
そんなみんちに話し掛けようとする緒花だが、みんちは緒花を無視する。
結名はみんちが緒花の事を好きだから、女将の味方をしている緒花に対してむくれているのだと告げる。
慌ただしい板場の中、みんちは板前修業で喜翠荘に拘るのは、ここにいるみんなが大好きだからだと考える。その中で緒花の事を思い出して、思わず「ホビロン」と叫んでしまう。
蓮さんと徹と揃ってそんな料理は出せないって、どれだけ余裕無くなってるんだよ。
そこにやってきた巴がお椀が出ていないとクレームが上がっている事を告げ、変更が入って忙しいという蓮二と口論になる。
口論を続ける二人に、縁は言い合いをしている場合ではない。喜翠荘を救いたいのではないかと叫び、二人は押し黙る。
精神的なゆとりが無くなって仕事にミスが出てきて、空気もギスギスし始めてる。
最早、みんなが守りたかった喜翠荘がそこにない事に誰も気付いてない。
お客様一人一人に合わせたきめ細やかなサービスを提供するのが、喜翠荘の売りである筈なのに、大勢の客をさばく事が目的の効率重視のサービスになってしまっている。
それでは常連客は付かないだろう。ホテルと変わりないのだし、そうすればホテルの方が安く、人手が多い分より質の高いサービスもあるのだから。
掃除をする緒花とおなこちは家族連れを送り出した。
と、なこちが「何か違う気がする」と呟く。
喜翠荘が好きななこちは、みんなが女将の方ばかり見ているといると感じ取っていた。
押しの弱いなこちだから緒花のように自分の思うように動く事が出来ず、みんなと一緒に働いているけど、緒花と同じく今のやり方に不満を感じ取っていたのですね。
女将の本当の気持ちを聞いているんじゃないかと詰め寄る。
女将が自分の好きな喜翠荘を作り上げた人だから、と事情を問いつめる。
話を聞いたなこちは、女将は自分の夢に走れる人間だから、自分の夢を持つ事が出来ず、夢について行く事が夢になる人間がいる事が判らないのだと言う。
その話を立ち聞きしている人影が……
みんなが願い札を書いていないと知った結名は、緒花は舐められていると自分が催促に行くが、二人が喜翠荘にやってくると、巴が階段で足を滑らせて怪我をしていた。
ゆとりが無くなっているから焦って無茶をして怪我をする、完全に悪循環。
その頃、松前皐月が湯乃鷺へとやってこようとしていた。
まさかのママン襲来。
足を捻挫してしまった巴に、縁は組合にヘルプを頼もうと言うも、結名が福屋も頼んだがぼんぼり祭でどこも人でが不足していて無理だと断られた事を告げる。
組合費は払っているだろうから資格はあるんだろうが、ぼんぼり祭りに人手すら割こうとしなかったのに、大変だから手を貸してと頼むのは無視の良い話だと思うけど。
そもそも余裕のない状態で仕事をするから、何かあった時に途端に首が回らなくなるんだよ。いざという時のために、常に少しの余力をとっておかないといけないのですよ。
女将に負けるみたいだから、と無理をしようする巴に、お客に喜んでもらうのではなく女将に勝つのが目的となっている事を指摘する。
勝たなきゃ喜翠荘が無くなると反発する徹。
彼らは何か勘違いしているのだけど、沢山の客をさばく事が出来れば、女将に勝った事になって、喜翠荘を続けることになれると思っているけど、スイは一言もそんな約束をしていないのですよ。
たとえ今のまま客を回したとしても、こんなその場凌ぎのやり方なんて何時までも持つわけがないのだし、スイも認める筈がないから意思を変えられないことぐらい気付かないのか。今の彼らが守ろうとしているのは、喜翠荘という器だけで中身が別物なんだよ。
そんな中、なこちは今の喜翠荘は自分の好きな喜翠荘ではないと告げる。
「私の好きな喜翠荘を返してください。
返してください!
やっと、自分が自分らしくいられる場所をみつけたのに」
なこちの言葉に押し黙る一同。
変なモノローグを入れる次郎丸太朗をみんなが冷たい視線を向ける。
一番空気読めない人だからな……
そういや、次郎丸は縁たちと一緒に頑張ってるけど、喜翠荘が続くことになれば借金そのままだけど、それは良いのか?
スイが自分が仲居として手伝うと言い出した。
女将に手伝ってもらう事に抵抗を感じる縁たち。
と、飄々と現れた皐月が、緒花の部屋でも良いので止めてくれれば仕事も手伝うと言い出す。
でも緒花の部屋はもういっぱいですよ。どの部屋に泊まったんだろう。空き部屋があったのか、それとも女将の部屋に泊ったのか。
これは戦いであり、女将や皐月に手伝ってもらうわけにはいかないと反発するも、崇子に個人的な感情を持ち込むなと叱られてしまう。
現状の打開よりもスイに対する反発による自分の意地を優先してしまうところが本当にダメ男。そんな事だから経営者の才能がないと言われてしまうんだよ。本当に続けたいのなら、自分が頭を下げてでも2人に頼まないといけない筈なのに。
そもそも今の客だって皐月の記事があればこそで、既に力を借りてしまってるだろう。
そしてぼんぼり祭当日。
慌ただしい喜翠荘。
皐月に指示する事を躊躇う縁だが、皐月は仲居として働き、スイも今日の自分は仲居なのだからちゃんと指示するように告げる。
それにしても今まで仲居の仕事なんてしてこなかったのに、ちゃんとこなせている皐月が凄すぎるよ。幼い頃から見てきたというのがあるにしても、やはり旅館仕事の才能があるんだろうな。弟と違って……
緒花は階段で具合が悪そうにしているスイを見つけて駆け寄る。
「旅館商売はお客様が第一。
自分たちの事は二の次三の次。
でもね、私はそれが楽しかったんだ」
自分の仕事に戻れというスイに従う緒花。
スイは自分のことを犠牲にしてでも仕事をしていたのは、楽しかったので良かったけど、その事が皐月たちに辛い思いをさせたのだけが後悔となってるのだろう。自分が楽しむために娘たちを犠牲にしたという思いがあるからこそ、喜翠荘を閉じると言い出したのだし。
緒花は自分の体調を押しても、今の喜翠荘を回そうとしているスイがそれを喜んでいるのだと知って、スイを気遣うよりも仕事をする事を選択したのだろうか。
――不思議だった。
――みんなが頑張るこの場所で……
――ママと女将さんが、一緒に働いて……
――私、気付いたんだ。
――私の夢は……
親子三人揃い踏みで仲居仕事。
食事の準備を終えて一段落した一同に、ぼんぼり祭へ行くとスイが呼びかける。
……あれ? 孝ちゃんは? なんでまだ来てないの?
この後にやってくるのかな。
次回 第二十五話「花咲くいつか」
好きです! 大好きです!
許されるならもう一度……あなた……
緒花は孝一に告白して、スイはもう一度だけ夢を見てみようかと思うようになり、喜翠荘の閉館を取り止めるという事になるのか。


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