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阪急電車 片道15分の奇跡 レビュー(ネタバレあり)

 【ストーリー】
OL の翔子(中谷美紀)は結婚を間近に控えたある日、婚約者から別の女性と結婚すると告げられる。翔子の後輩でもあるその女性が死のうとしたという婚約者は、彼女と肉体関係を持ち、妊娠させてしまったのだという。怒り心頭で許せない翔子だが、婚約者が翔子は一人でも平気で泣かないが、彼女は自分がいなければダメなのだと語るのを聞いて、一つの条件を提示して婚約破棄を承諾する。

一人暮らしの老婆・時江(宮本信子)は孫の亜美(芦田愛菜)を連れて公園などに良く遊びに出掛けていた。

女子高生の悦子(有村架純)は憧れの関西学院大学を前に佇んでいた。
関西学院大学への進学を望む彼女だが、彼女の学力では厳しかったのだ。

関西学院大学に通う学生の圭一(勝地涼)は、パンク好きで、しかもミリタリーオタク。そんな彼は偏見の目を向けて来る周囲と馴染めず孤立していた。
同じ関西学院大学に通う権田原美帆(谷村美月)は田舎から上京して友達も出来ているものの、食べる事の出来る野草などを見つけてはしゃぐも、周囲からは恥ずかしいと言われてしまい打ち解けきれずにいた。


女子大生のミサ(戸田恵梨香)はハンサムなカツヤ(小柳友)と恋人関係にあった。しかしカツヤはちょっとした事で直ぐにキレてミサに暴力を奮うDVだった。そんなカツヤに半同棲状態なのは嫌で、一緒に家を捜しに行こうと誘うミサだが、カツヤはその言葉に怒りだしてお菓子袋をミサに投げつけると腹を立てて部屋から出て行ってしまう。

主婦・康江(南果歩)は夫の安月給をなんとかやりくりしながらも、息子と3人で幸せに暮らしていた。だが、息子のPTAで知り合った奥様連中との付き合いが悩みの種となっていた。康江とは金銭感覚の違うセレブ気取りの主婦たちは、数千円もするランチに康江を強引に誘ってくるのだ。夫も息子も仕方ないからと快く送り出してくれるが、康江は夫や息子に申し訳ないという気持ちを抱えていた。

そして一人の助けを求める少女……

宝塚-宝塚南口-逆瀬川-小林-仁川-甲東園-門戸厄神-西宮北口-阪神国道-今津
阪急電車今津線を舞台に繰り広げられる物語。

時江が亜美と乗っていた電車。別の車両には康江が憂鬱な様子で主婦たちと昼食を食べるために乗っていた。
その電車にウエディングドレスを思わせる真っ白なドレス姿に引き出物を手にして乗り込んできたのは翔子だった。
注目を浴びるも関わらないようにする人々だが、子供の亜美は翔子をお嫁さんだとはしゃぐ。時江はそんな亜美を嗜める。翔子は亜美にお嫁さんじゃないと言いながら涙を流してしまう。
時江は翔子に事情を話してみるようにす勧める。

翔子が元婚約者と後輩に提示した条件は自分を二人の結婚式に呼ぶ事だった。
翔子は自分の方が綺麗だ、自分を振った婚約者を後悔させてやりたいと、恋人を寝取られた意趣返しにウエディングドレスのような白いドレスで参加したのだ。
結婚式にはあり得ない白いドレス姿にティアラと、当然のように注目を浴びる翔子。
式場に入ってきた新郎新婦の二人は翔子の姿に言葉を詰まらせていた。
花嫁はそんな彼女に耐えきれず、スタッフに頼んでショールを羽織ってもらうように告げる。
スタッフから申し出を受けた翔子は、新郎の母が詫びるように頭を下げるのを目にすると、式場を退席したのだ。
自分を裏切った二人の最良の日を、思い出すたびに自分の事を思い出して陰りを与えたいと考えたのだ。

そんな事をすれば自分も傷つく事は判っていた筈。それでもやらずにはいられなかった翔子の気持ちを汲む時江は翔子を責める事無く擁護する。
見ず知らずの時江に気持ちを吐露した事で気持ちが少し晴れた翔子に、時江は今は良いが気が晴れたら新郎新婦と同じ職場は止めて引っ越すように諭すと、次の小林駅で降りて気持ちを落ち着けるように告げる。
時江の言葉に従って小林に降りた。
違う車両に乗っていた康江は少し晴れ晴れとした表情の翔子に何があったのだろうかと疑問を抱くのだった。

翔子は暫く駅のホームに佇んでいたが、暖かい雰囲気の駅の様子から町へと出ていく気持ちへとなる。
町を歩く翔子は空腹を満たし、服も新しく着替えるのだった。


翔子が去った後、新しい部屋を捜しに行くため、恋人のカツヤ途中から電車に乗って来ていたミサは、翔子が結婚式に白いドレスを着ていた事に笑う。
結婚式では花嫁以外は白いドレスを着ないのは常識だというミサだが、カツヤはそれを知らなかった自分を馬鹿にしているのかと怒鳴り出して部屋を探しに行くという約束を取りやめて仁川駅で途中下車してしまった。
カツヤを止めようとするミサだが、カツヤはそんなミサを振り払って去ってしまう。
転んで膝を擦りむいたミサに、時江は絆創膏を与えると、あんな男と付き合うのは止めた方が良いと忠告して去っていく。

時江の言葉を反芻しながらカツヤに別れを告げるメールを送ろうとしながらも、踏ん切りのつかないミサ。
同じ大学に通うカツヤから告白されて付き合うことになったミサは、格好良くて周りから注目されるカツヤと付き合っている事が誇らしかったのだ。
ミサが次の電車を待ちながら悩んでいると、女子高生の悦子が友人とホームにやってくる。

社会人の彼氏と付き合っている悦子だが、その彼氏はアイロンの当て方も知らなければ「絹」という漢字も読めず、本当に大学を卒業したのかというぐらいのアホっぽさだと笑う。
そんな彼は悦子が大学に合格するまでは寝ないと約束しているため、未だにプラトニックな関係にあった。恋人のためにも大学を浪人できないと笑う悦子だが、甲東園駅から関西学院大学の学生たちが乗り込んでくると少し羨ましげに見つめていた。

電車に乗っていた圭一は、偶然側に乗っていた美帆が空を見つめている事に気づく。
そこには自衛隊のヘリが飛んでいた。
圭一は思わずはしゃぐが、そんな彼にびっくりしている美帆にまた軍オタだと引かれたと感じる。
しかし美帆は自分の知らない事を知る事にむしろ喜ぶ。
少しながら打ち解けたように感じる圭一は、美帆の持っている教科書から彼女と同じ学部である事に気付いており、名乗るが美帆は押し黙ってしまい、気まずい空気のまま会話が途切れてしまう。

駅に着いた悦子に、同じ駅で降りたミサは彼氏のために浪人するな、とこっそりと声を掛けると意を決してカツヤに別れを告げるメールを送信する。

気まずい雰囲気となった美帆と圭一だが、駅を出ようとしていた圭一を美帆が呼びとめると、自分の名前を名乗る。「権田原」という名字でいつも笑われ、「ゴンちゃん」とあだ名されている美帆は名前にコンプレックスがあったため、言い淀んでしまったのだ。
そのためどうフォローしたらいいのか判らなくなりパニックとなってしまっていた事を告白した美帆に、圭一は「美帆ちゃん」と呼んで二人は仲良くなるのだった。

そして時は流れ……

・キャスト
翔子:中谷美紀
時江:宮本信子
ミサ:戸田恵梨香
悦子:有村架純
康江:南果歩
権田原美帆:谷村美月
圭一:勝地涼
カツヤ:小柳友
竜太:玉山鉄二
亜美:芦田愛菜

・Youtube動画


 【感想】
『図書館戦争』や『フリーター、家を買う』で人気作家となった有川浩の原作小説の映画化作品。
兵庫県宝塚市の宝塚駅から西宮市を繋ぐ阪急今津線というローカル線を舞台に、全く繋がりの無かった登場人物たちが、電車を舞台に知り合い、人生にほんの少しだけど変化を迎えるお話。
http://www.hankyu.co.jp/movie/about-imazu/

7+1人の登場人物全てが主人公という感じ。
他人に助けられた人物が、別の人の助けになるなどの見えない繋がりが描かれています。

一番活躍するのが老人である時江。
メインキャラの中で一番影が薄かったのは少女を除けば美帆と圭一だったか。
出番は結構あったけど、基本的には二人だけでクローズしていて、他のキャラに少し関わる程度だからな。

時江は息子の嫁に迷惑だと判っていながら、作ったものをプレゼントし続けているのは何故なんだろうか。最後まで明かされなかったけど……単に一人で寂しいから、気を紛らわせるためなのか。

翔子みたいなタイプの女性は作中でも語られるように損をするタイプだね。
強い女性だから大丈夫だとか勝手に思われてしまう。男は自分がいないとダメだと思わせるような相手に弱いから。
結婚式場を去ったのはやはり新郎の母親と目があったからかな。
母親としては結婚の準備をしていたのに、他の女を妊娠させて婚約破棄したのだから、申し訳ない気持ちでいっぱいだろうし。

康江の主婦仲間のような人は関西圏には実在しているよな。
電車の中で騒ぐのはおばちゃんだけでなく、女子高生とかでも多々いるけど。あの強引さは見習うべきところもあるけど、行き過ぎるとただの迷惑。時江に叱りつけられた後、電車に乗っている間は大人しくしていたのに、降りたとたんに逃げるように去りながら悪口をいうあたりが反省していなさを良くあらわしているよね。
その場だけ反省しているフリというダメっぷり。

悦子の恋人である竜太は良い人だ。あんな良い人はなかなかいないよね。
それと真逆だったダメ男のカツヤ。ミサの友人が携帯を真っ二つに折り曲げた時には、さすがに観客がみんなびっくりしていた。ただアドレスとかを消すだけどばかり思っていたから、まさかへし折った上にコップの中に放り込むとは……あの子は最初にミサが電話していた相手なんだろうね。
カツヤも顔だけは良くてモテるのに、なんでミサにあれほど固執したのだろう。新しい女を捜せば良いだろうに。

大きな感動という感じではないので傑作とまでは言わないが、全体として良く出来ていたと思う。
複数のエピソードが同時に進むので、若干細切れな感じは否めない。

個人的評価:80点

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Author:黒虎
アニメや音楽・映画などの個人的主観に基づいた感想をつらつらと駄文で書き綴っています。

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大阪在住の関西人。

年中無休で貧乏人です
語学力はサッパリ。記憶力はトリです。感性もイマイチです。故に高尚な表現によるレビューなどは期待出来ません、あしからず。

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